逃亡犯罪人引渡法

逃亡犯罪人引渡法について

逃亡犯罪人引渡法（とうぼうはんざいにんひきわたしほう）は、日本国内での犯罪人引渡しに関する法律であり、昭和28年7月21日に制定されました。この法律は、外国から犯罪者の引渡しの請求があった場合の手続きについて詳細に定めています。この法律により、日本は国際的な枠組みの中で、特定の国と結ばれた犯罪人引渡し条約に基づき、適切な手続きを経て犯罪人を引き渡すことが可能となります。

法律の施行背景と沿革

逃亡犯罪人引渡法は1953年（昭和28年）7月22日から施行され、これによりそれ以前に存在した逃亡犯罪人引渡条例（明治20年勅令第42号）は廃止されました。この法律は、国際的な犯罪人引渡しの体系を整備するために重要な役割を果たしています。

法律の主な内容

法律は第1条から第35条までの規定から構成されており、内容は以下の通りです。

定義（第一条）

• - 締約国：日本国との間に犯罪人の引渡に関する条約を締結した国。
• - 引渡犯罪：引渡条約に基づいて、犯罪人を引き渡すことが可能な犯罪。
• - 逃亡犯罪人：引渡犯罪を犯しており、締約国での刑事手続きが行われた者。

引渡し拒絶（第二条）

犯罪人の引渡しは、いくつかの理由により拒絶される場合があります。これには、政治犯と見なされる場合や、日本の法律に照らして犯罪として成立しない場合などが含まれます。また、犯罪が証明されない場合や、日本において裁判が行われている犯罪人についても引渡しが拒否されることがあります。

引渡し手続き（第3条から第21条）

引渡しの手続きについては、法律の中で体系的に規定されています。外務大臣が外国から引渡しの要求を受けた際の処理や、法務大臣がその請求をどう扱うかについての手続きが詳細に記載されています。しかし、法務大臣は案件に応じて東京高等裁判所に判断を仰ぎ、裁判所の決定に従って行動する必要があります。

特別な手続き（第二十二条以降）

特定の条件下では犯罪人の拘禁が一時的に停止されることもあります。さらに、仮拘禁の手続きが定められており、逮捕状が発行された場合には、迅速に手続きを進めることが求められます。

その他の規定

第31条から35条にかけて、法律の管轄や新しい条約が締結された場合の適用などが定められています。

逃亡犯罪人引渡条例との相違点

この法律は、逃亡犯罪人引渡条例に比べて、身柄拘束を行う際に原則として裁判官の令状が必要であり、引渡すべきかの判断を行政機関だけでなく司法機関によって行うことが求められています。これにより、より透明で公平な手続きが確保されています。

まとめ

逃亡犯罪人引渡法は国際的な法の枠組みにおいて、日本が犯罪人を他国に引き渡す際の法的基盤を提供しており、国際法や条約に則った行使が求められています。法務省と外務省が主務官庁となり、手続きの形式や判断が適正に行われることが重要です。この法律は、日本が国際的な法的責任を果たすための重要な一環をなすものです。

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