逃港者

逃港者とは

逃港者（とうこうしゃ）とは、1950年代以降、中華人民共和国の混乱を逃れ、イギリス領であった香港へ亡命した人々のことを指します。この動きは「逃港」と呼ばれています。

背景

1949年の中華人民共和国建国後、中国では度重なる経済政策の失敗や内乱、そして政治的な迫害が起こりました。特に、1950年代後半の大躍進政策では、2000万人から4700万人もの人々が餓死したとされ、1960年代から1970年代にかけての文化大革命では、1000万人から7000万人もの死者が出たとも言われています。このような状況下で、多くの人々が生きるために中国からの脱出を決意しました。

作家の陳秉安氏の著書『大逃港』によると、1955年から1980年代にかけて、広東省、湖南省、湖北省、江西省、広西チワン族自治区などから、約100万人が香港へと逃れました。その主な理由は、食糧難を含む生活困窮でしたが、文化大革命期には思想的な理由で逃亡する人々もいました。また、中には中国国民党政府の宣伝用風船につけられたTシャツを着ているのが見つかるのを恐れて逃げ出したというケースも報告されています。

中国共産党政府は、香港との国境付近に逃走防止を目的とした「紅旗村」を設けましたが、そこからも多くの逃亡者が出ました。

香港への影響

逃港者の流入は、第二次世界大戦終結時に60万人だった香港の人口を急増させました。彼らは安価な労働力として香港の製造業を支え、香港は世界有数の人口過密地域へと変貌しました。1970年代後半に文化大革命が終結した後も、香港への人口流入は止まらず、1984年以降は許可を得ていない中国からの密入国者は送還されるようになりました。

香港政庁は、押し寄せる難民に対応するために、団地の建設や都市開発プロジェクトを進めました。一方で、政府による過剰な経済介入を避け、低い税率を維持する積極的不介入主義を貫きました。

逃港者の著名人

逃港者の中には、その後の香港社会で重要な役割を果たした人物も数多くいます。
以下はその一部です。

呉錫豪
季炳雄
張子強
黃証鴻
蘇穎智
葉繼歡
陳新滋
林行止
李鵬飛
關惠群
李摩西
鍾錦
倪匡
周慶峻
羅文
黎智英
孟飛
關聰
列孚
夏雨
劉夢熊
盧海鵬
劉千石
黃永幟
梁立人
惠英紅の父親
麥嘉
呉大江
馬思聰
曾憲梓
李永健
梁體賢
林澤飄
陳鴻道
林順潮の父親
経済学者雷鼎鳴の父親

関連情報

逃港についてより深く知りたい場合は、以下の項目も参照してください。

香港の歴史
香港の政治
中国大陸で禁書とされる香港・台湾の書物
大逃港

外部リンク

博客來-大逃港（增訂本）(中国語)
大逃港（增訂本）Google book(中国語)
* 香港中和出版(中国語)

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