透明ネズミ

トムとジェリー『透明ネズミ』：不可視インクとドタバタ劇

1947年公開の『透明ネズミ』(原題:The Invisible Mouse)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督によるトムとジェリーシリーズの一作品です。本作では、ジェリーが偶然にも「色消しインク」に浸かり、透明人間になってしまうことから物語が始まります。

いつも通りトムに追いかけられていたジェリーは、インクの入った瓶に飛び込み、全身を透明にしてしまいます。この能力を手に入れたジェリーは、トムを出し抜くため、様々ないたずらを開始。トムは目の前で起こる不可解な現象に戸惑い、熱中症だと勘違いして寝込んでしまうほどです。

ジェリーは透明になったことで、トムの目の前で自由に動き回り、いたずら放題。しかし、透明になったジェリーにも影は残るため、その影からトムはジェリーの正体を見破ります。トムはジェリーを捕まえようと、床一面に小麦粉を撒き、ジェリーの足跡を付ける作戦に出ます。

序盤ではジェリーのいたずらに翻弄されるトムですが、カーテンを使ってジェリーを捕獲することに成功します。トムはジェリーを本で叩こうとしますが、わずかな隙間から逃げ出したジェリーは、今度はゴルフクラブを手にトムに反撃。さらに、外で寝ていたスパイクをゴルフクラブで叩き落としてトムに濡れ衣を着せ、逃走します。スパイクはトムをゴルフクラブで殴り続けるという、大騒動に発展します。

一連の騒動を終え、ジェリーは自身の体と同じ色のチョコレートドリンクを飲み干すと、元の姿に戻ります。

主要キャラクター

トム: ジェリーを追いかけるも、透明になったジェリーに翻弄され、最後はスパイクにもゴルフクラブで殴られる羽目になります。
ジェリー: 透明インクを利用してトムを出し抜き、様々ないたずらでトムを苦しめます。一度は捕まるものの、すぐに脱出し、反撃に出ます。
* スパイク: 外で寝ていたところをジェリーにゴルフクラブで殴られ、床下に落とされます。ジェリーがトムに濡れ衣を着せたため、トムをゴルフクラブで追い回すことになります。

作品の魅力

『透明ネズミ』は、トムとジェリーのコミカルなやり取りと、予測不能な展開が魅力の作品です。透明になったジェリーによるいたずら、そしてスパイクを巻き込んだ大騒動は、テンポの良い演出で描かれ、観るものを飽きさせません。また、不可視インクという設定が、トムとジェリーの追いかけっこに新たな要素を加え、従来の作品とは異なる面白さを提供しています。

本作は、トムとジェリーシリーズの中でも、特に人気が高い作品の一つとして知られています。そのユニークな設定と、笑える展開は、何度見ても楽しめる魅力に溢れています。シンプルながらも巧妙な罠や、予想外の展開が連続する痛快なストーリーは、子供から大人まで幅広い世代に受け入れられるでしょう。 透明になるというアイデアは、後年の作品『忍法ネコだまし』にも受け継がれていますが、『透明ネズミ』独自の面白さは色褪せることがありません。

この作品は、ハンナ・バーベラ黄金期の代表作の一つとして、アニメーション史においても重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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