速吸 (給油艦)

速吸（はやすい/はやすひ）

速吸は大日本帝国海軍に所属する給油艦であり、風早型運送艦の2番艦にあたります。艦名は日本国内の海峡や水道名に由来し、その中でも特に速吸瀬戸に由来しています。これは豊予水道に面し、四国佐田岬と九州佐賀関半島の間に位置するため、艦名が付けられました。

航空機運用能力

速吸は給油艦であると同時に、カタパルトと小型の飛行甲板を備えた艦艦艇としても知られています。補助空母の役割を持つこの艦は、攻撃機の運用が計画されましたが、実戦においてはその能力を活かす機会はありませんでした。1944年のマリアナ沖海戦に参加するも、その際に航空機艤装が十分に活かされることはなく、速吸は戦闘の厳しい環境にさらされることになりました。

設計の背景

当初、速吸は給油艦として艦隊随伴型艦艇として設計されましたが、対潜哨戒用の水上機運用のニーズに応じて大幅な設計変更が行われました。ミッドウェー海戦での苦戦を受け、当時開発中であった流星攻撃機の発進能力を持つ艦艇に改造されることとなり、これに関する計画が立てられました。水上攻撃機瑞雲も搭載できる可能性がありましたが、いずれも実戦で活用されることはありませんでした。

艦歴

1943年7月31日に命名された速吸は、1944年4月に竣工し、開艦後は佐世保鎮守府に配属されました。訓練後、特設運送船とともにヒ船団に加入し、南方への移動を命じられましたが、新型潜水艦との衝突事故によって出撃が遅れました。その後、補給部隊の一員として活動を続けたものの、6月19日の海戦では艦隊に空襲を受け、瞬時の判断と行動が求められました。

補給部隊に属していた速吸は、他艦と共に燃料補給を行いながら艦隊の護衛任務を遂行していました。しかし、戦局が厳しくなる中で、艦は一度内地に帰投し修理を受けました。その後、南方への石油輸送任務に従事していた際、予期せぬ攻撃に遭遇しました。

最期

1944年8月、速吸はヒ71船団の一員として出発しました。しかし、途中で日本の艦隊はアメリカの潜水艦に襲われ、速吸も魚雷攻撃を受けます。攻撃の結果、艦は大きな損害を受け、沈没してしまいました。この戦闘で、速吸は海上護衛戦における重要な役割を全うしつつも、その道半ばでの命運を迎えました。彼女の特務艦籍は1944年10月に除籍され、速吸の歴史は幕を閉じました。

速吸の艦長は、運用においてその困難な状況の中でも士気を鼓舞し、艦の指揮を執っていました。これらの出来事は、戦時の艦艇において直面した厳しい選択と犠牲を物語っています。

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