逢いたくてしかたない

郷ひろみ「逢いたくてしかたない」：切ない想いを綴るバラードの傑作

1995年、日本の音楽シーンに新たなバラードの名曲が誕生しました。郷ひろみ67作目のシングル、「逢いたくてしかたない」です。この曲は、1990年代半ばのJ-POPシーンにおいて、数々のヒット曲を世に送り出してきた郷ひろみのキャリアの中でも、特に記憶に残る一曲と言えるでしょう。

このシングルは、先行シングル「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」や「言えないよ」と並び、郷ひろみのバラード3部作の最終章を飾る作品として位置づけられています。それまでの作品で培ってきた、郷ひろみ特有の情感豊かな歌声と、切なくも美しいメロディーが見事に融合し、聴く者の心を深く揺さぶる名バラードに仕上がっています。

楽曲制作には、作詞に松井五郎氏、作曲に都志見隆氏、そして編曲に山本健司氏と、日本の音楽シーンを代表する実力派アーティストが名を連ねています。彼らの卓越した才能が一つとなり、この曲の完成度の高さを支えています。特に、松井五郎氏の作詞による、主人公の切実な想いを繊細に表現した歌詞は、多くのリスナーの共感を呼びました。

「逢いたくてしかたない」は、単なる恋愛ソングにとどまらず、普遍的な人間の感情である「逢いたい」という想いを、美しく、そして力強く表現しています。それは、恋人を失った悲しみ、遠距離恋愛の苦しみ、あるいは故郷への郷愁など、様々な状況において、リスナー一人ひとりの心に深く響く力を持っていると言えるでしょう。

さらに、この曲は朝日生命のCMソングにも起用されました。CM映像と楽曲の世界観が絶妙にマッチし、より多くの人の心に届くきっかけとなりました。CM効果もあって、オリコンチャートでは最高位17位を記録するなど、商業的な成功も収めています。

カップリング曲の「忘れられないひと」もまた、見逃せない魅力を持っています。こちらは1995年、トリンプの「天使のブラ」CMソングとして使用されました。CMソングとしての起用は、「逢いたくてしかたない」と同様、楽曲の知名度向上に大きく貢献したと言えるでしょう。

「逢いたくてしかたない」は、単なる一曲のシングルとしてだけでなく、1990年代半ばの音楽シーンを代表する作品として、そして郷ひろみ自身のキャリアの中でも重要な位置を占める楽曲として、日本の音楽史に刻まれています。その美しいメロディーと切ない歌詞は、時代を超えて多くの人々の心に響き続けることでしょう。 このシングルは、郷ひろみの音楽性と表現力の高さを改めて証明する、まさに名盤と言えるでしょう。ソニーの制作ディレクターである葛口雅行氏のコメントにもある通り、この曲は郷ひろみ自身の音楽キャリアにおいて重要な位置付けであり、日本の音楽史においても重要な作品として記憶されています。 現在でも多くの人々に愛され、聴き継がれている、不朽の名曲と言えるでしょう。

もう一度検索