逢えるかもしれない (原田知世の曲)

原田知世「逢えるかもしれない」：時代を映す、出会いの歌

「逢えるかもしれない」は、1987年5月2日にリリースされた原田知世の11枚目のシングルです。この楽曲は、単なるアイドルポップとしてだけでなく、時代の大きな転換期を背景に持つ、特別な意味合いを持っています。

国鉄民営化と歌詞の誕生

この曲の歌詞は、1987年4月1日に実施された国鉄（日本国有鉄道）の分割民営化を記念した「新生鉄道誕生記念キャンペーン ″いい街へ いい人へ″」の大賞受賞作品が基になっています。一般公募で選ばれた澤田直子の詩に、松本隆が手を加え、完成しました。国鉄という、日本の高度経済成長を支えた巨大組織の解体と、新たな時代への希望が込められた歌詞は、多くの人々の共感を呼びました。

後藤次利によるサウンドプロデュース

作曲・編曲は、当時ニューミュージック界を牽引していた後藤次利が担当しました。後藤は、原田知世の持つ透明感のある歌声を活かしつつ、どこか切ないメロディを紡ぎ出しました。シングルに収録された2曲は、同年7月に発売されたアルバム『Schmatz』にも収録されていますが、アルバムバージョンはシングルとは異なるアレンジが施されています。特に、アルバムバージョンは、より洗練されたサウンドに仕上がっており、シングルの持つノスタルジックな雰囲気とは一味違った魅力を放っています。

チャート成績とセールス

「逢えるかもしれない」は、オリコンチャートで週間24位を記録しました。チャート登場週数は5週、累計およそ3万枚のセールスを記録しました。当時のアイドル歌謡曲としては、特筆すべき大ヒットとは言えませんが、その音楽性と時代背景から、現在でも多くの音楽ファンに愛されています。

収録曲

1. 逢えるかもしれない
2. サヨナラのない町

収録アルバム

アルバム『Schmatz』（1987年7月29日）
ベスト・アルバム『シングル・コレクション '82〜'88』（1988年9月1日）
ベスト・アルバム『GOLDEN J-POP/THE BEST 原田知世』(1998年8月21日）
ベスト・アルバム『2000 BEST 原田知世』(2000年7月19日）
CD-BOX『TOMOYO 80's Complete Box』＜通販限定＞ (2011年6月29日）

関連事項

1987年の音楽
* 国鉄分割民営化

「逢えるかもしれない」は、単なる歌謡曲としてだけでなく、1980年代後半の日本の社会情勢や、人々の心情を反映した作品として、音楽史に刻まれています。原田知世の透明感あふれる歌声を通して、ぜひ一度、この曲の世界に触れてみてください。

もう一度検索