連合・進歩・民主主義

連合・進歩・民主主義（UPyD）：スペインの進歩主義政党

2007年に創設されたスペインの政党、連合・進歩・民主主義（Unión, Progreso y Democracia, UPyD）は、スペインの二大政党である国民党と社会労働党に対抗する勢力として誕生しました。結党メンバーには哲学者や作家など、著名な知識人が名を連ねており、当初はバスク州の反ETA（エタ、バスク祖国と自由）運動を背景とした市民団体から発展したとされています。

結党の背景と目的

UPyDの結党は、スペインの政治状況への不満から生まれました。既存の二大政党による政治支配への反発、ETAによるテロリズムへの反対、スペイン憲法の改正による民主主義の刷新など、多様な動機が背景にありました。特に、バスク州における民族主義や地方分権への批判的な視点、そしてスペイン憲法の改善を通じた市民的自由の拡大を求める強い意志が、結党の原動力となりました。

結党当初から、UPyDはETAを含むあらゆるテロリズムへの反対を明確に表明し、スペイン憲法の改正を通じて市民的自由の拡大、法の下の平等などを目指しました。また、スペインにおける地域主義・民族主義運動に対する批判的な立場をとり、地方分権のあり方を見直す必要性を訴えました。

イデオロギーと政策

UPyDは、既存の左右イデオロギーの枠組みを超えた「進歩主義」を標榜しています。これは、単なる左派や右派のイデオロギーに回収されるのではなく、より幅広い市民の利益を代表する政治勢力となることを目指す姿勢を示しています。

具体的には、以下の様な政策を提唱していました。

スペイン憲法改正: 自治州のあり方を見直し、国家と自治州の権限を明確化すること。また、個人の権利を地域差なく平等に保障することなどを目指した憲法改正を主張しました。
世俗主義の強化: 教育の質向上、特に公教育における世俗主義と科学的方法の重視を訴えました。
選挙制度改革: 選挙区制度や議席配分の見直し、首相や自治州首相の直接選挙制導入などを主張し、選挙制度の透明性向上と民主主義の深化を図ろうとしました。
対テロ対策: ETAの排除を最優先課題とし、テロリズムへの断固たる姿勢を示しました。
経済・社会政策: 経済的・社会的不平等是正のための政策を提唱しました。
移民政策: 宗教的原理主義に偏らない、世俗的な市民的価値観に基づいた移民政策を提唱しました。
* 欧州連合強化: 欧州連合の強化を支持しました。

選挙結果

UPyDは、2008年の総選挙で、共同設立者のロサ・ディエスが下院議員に当選しました。その後も、欧州議会議員選挙や地方議会選挙で議席を獲得するなど、一定の支持を獲得しましたが、二大政党に対抗するには至りませんでした。2011年の総選挙では、5議席を獲得し、躍進を見せましたが、その後は勢力を拡大できずに、徐々に支持を減らしていきました。

まとめ

UPyDは、スペインの政治システムに改革を求めた進歩主義政党として、重要な役割を果たしました。しかし、二大政党体制を打破するには至らず、スペイン政治における勢力としては衰退していきました。彼らの主張や政策は、スペイン政治の現状を考える上で、重要な材料となっています。 UPyDの歴史は、スペインの民主主義と政治改革への試みの一端を示すものと言えるでしょう。

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