連合映画芸術家協会

聯合映畫藝術家協會について

聯合映畫藝術家協會（れんごうえいがげいじゅつかきょうかい）は、1925年に設立された日本の映画会社であり、当時の文化シーンにおいて重要な役割を果たしました。この団体は、奈良を拠点とし、小説家の直木三十五が設立に関与しました。彼は、映画製作においても新しい試みを行い、マキノ・プロダクションから提供された撮影所を使用して作品を制作しました。

設立と活動の経緯

聯合映畫藝術家協會の設立は大正14年（1925年）3月に行われ、直木三十五は理事長として経営を行いました。さらに、文芸部の顧問としては文藝春秋社の菊池寛が招かれ、彼の文学的な知見が映画製作にも生かされました。

会社の撮影所は、奈良の東大寺戒壇院の近くにありました。この位置は、当時の日本の映画界でも華やかな一画を形成していました。設立からさほど時間が経たない内に公開された第一作『月形半平太』は、マキノ省三からの協力を得て制作されたもので、多くの観客に受け入れられました。この作品は、1925年5月に「浅草大東京」などで公開され、評価を得ました。

主要な作品とその評価

設立当初、聯合映畫藝術家協會は映画の新たな可能性を追求し、創意工夫に溢れた作品を発表しました。特に、設立第2作の『弥陀ヶ原の殺陣』は、大河内傳次郎の初出演作であると同時に、直木が脚本に関与したことで話題となりました。この作品は中川映画製作所と二本立てで公開され、多くの前作キャストが引き続き出演するなど、連携の強さを示しました。

1926年には、東邦映画製作所から独立した伊藤大輔が直木の下で映画研究所を設立し、続けて菊池寛原作の『京子と倭文子』を制作します。この作品では、直木自身の家族も登場し、私情と公的な活動が交錯した特異な事例と言えるでしょう。

しかし、こうした映画の試みは必ずしも成功に結びつかず、最終的に聯合映畫藝術家協會は財政難に直面します。直木は、映画事業が自らの期待通りには進展しなかったことから、撤退を余儀なくされました。

文化的背景と影響

聯合映畫藝術家協會は、当時の日本におけるサブカルチャーの一端を担っていました。文学、とりわけ菊池寛の影響を受けた作品が徐々に形を成し、この団体は名だたる文化人とつながっていました。また、新感覚派の作家や無声映画にも影響を与え、高松豊次郎や衣笠貞之助といった映像作家とも深い関わりを持ちました。

直木自身は、脚本だけでなく監督としても活動しましたが、映画界からは冷ややかな反応が寄せられたことも事実です。彼は「作家ゴロ」や「映画ゴロ」といった言葉で評され、その評価は決して高くありませんでした。

解散とその後

1927年には、マキノ・プロダクションが新たに撮影所を設立するなど、業界の状況が目まぐるしく変わる中で、聯合映畫藝術家協會は解散に追い込まれました。

この映画会社は短期間の活動ながら、日本映画の発展に寄与し、後世の文化に影響を与えました。本団体の痕跡は、今なお映画史を語る上で無視できない存在となっています。彼らは新しい表現の可能性を追求し、映画というメディアにおいて重要な位置を占めたのです。

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