連邦倒産法第7章

連邦倒産法第7章：清算型倒産手続きの詳細解説

連邦倒産法第7章（Chapter 7）は、アメリカ合衆国連邦倒産法における清算型倒産手続きを定めた章であり、債務者の財産を清算し、債権者への公平な分配を目指すものです。これは、日本の破産法に相当し、個人・法人の両方に適用されます。

手続きの開始

第7章手続きは、債権者または債務者自身の申し立てにより開始されます。手続き開始と同時に、債権者による個別の債権回収行為は自動的に禁止され、倒産手続きは連邦倒産法に基づき進められます。

債権者集会

手続き開始後、債権者集会が開催され、債務者の審尋が行われます。第7章手続きでは、第11章手続きとは異なり、債権者委員会は必ずしも設置されません。

管財人の選任と役割

手続き開始後、連邦管財官が仮管財人を選任し、その後、債権者集会で管財人が選任されます。管財人は、倒産財団を代表し、財団の維持・充実、現金化、債権者への分配を行います。また、否認権の行使を通じて、不当な財産流出を防ぐ役割も担います。

債権証明の届出と確定

債権者が権利を行使するためには、債権証明の届出が必要です。第7章手続きでは、第一回債権者集会から90日以内に届出を行う必要があります。届出された債権は、異議がなければ承認されますが、異議が申し立てられた場合は、裁判所が認否を決定します。

他の手続きへの移行と申立の却下

債務者は、第7章手続きを第11章、第12章、第13章手続きに移行することができます。また、裁判所の命令により移行する場合もありますが、第11章手続き以外への移行には債務者の同意が必要です。裁判所は、第7章手続きの開始が濫用にあたると判断した場合、申立を却下するか、債務者の同意を得て他の手続きに移行させることができます。特に、債務者の収入が一定水準以上の場合、濫用が推定されるため、第13章手続きを選択させられる可能性が高まります。

分配

第7章手続きにおける重要な目的の一つは、債権者への公平かつ秩序ある分配です。債権は、担保債権、優先的請求権、その他の請求権に分類され、それぞれに優先順位が定められています。

担保債権

担保権は、担保物の価値の範囲内で全額弁済されます。担保物の価値が債務額を上回る場合、超過額は優先的請求権やその他の無担保債権の支払いに充てられます。

優先的請求権

優先的請求権は、倒産財団から優先的に支払われる債権です。これには、配偶者や子供の養育費、共益費用（管財人報酬、手続き費用など）、給与、従業員福利厚生、農漁業者の債権、消費者の前渡金、税金などが含まれます。これらの債権は、定められた優先順位に従って支払われます。

その他の請求権

優先的請求権の支払いが完了した後、残余財産があれば、その他の無担保債権者に支払われます。ここにも、届けられた時期や債権の内容によって優先順位があります。支払いが完了してもなお財産が残る場合は、債務者に返還されます。

免責

個人債務者は、第7章手続き終了後、ほとんどの債務について免責を受けることができます。免責とは、支払いきれなかった債務の法的責任を免除する制度であり、債務者の再スタートを支援するものです。ただし、税金、詐欺行為によって負った債務、扶養義務から生じた債務など、一部の債務は免責対象外となります。免責を受けるためには、財産の隠匿や虚偽情報の提供などの不正行為がないことが条件です。

関連項目

連邦倒産法第11章: 事業再生型の倒産手続き
連邦倒産法第13章: 定期的収入のある個人のための再生型倒産手続き
* 連邦倒産法: アメリカの倒産法全般

この解説が、連邦倒産法第7章の理解に役立つことを願います。

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