週刊 恐竜サウルス!

週刊 恐竜サウルス!

『週刊 恐竜サウルス!』は、1990年代半ばに日本の家庭に届けられた、恐竜をテーマにしたユニークな分冊百科シリーズです。デアゴスティーニ・ジャパンと業務提携を結んでいた同朋舎出版（後に一部号で少心書房に移行）から刊行され、子どもから大人まで、幅広い層が楽しめる「参考書」として企画されました。

シリーズの歩みと特徴

本シリーズは、海外で発売されていた子ども向けの恐竜雑誌『Dinosaurs! - Discover the giants of the prehistoric world』を日本語に翻訳・再構成したものです。海外版は全104号が刊行されましたが、日本版は1993年10月に第1号が発刊されて以来、毎週火曜日に発行され、1995年8月までに全91号をもって完結しました。海外版の一部号は翻訳・未刊行となっています。

刊行期間は約2年間におよび、当時としては日本国内で恐竜を専門に取り扱った初めての週刊誌であり、これほど長期にわたって継続した点は特筆すべき功績と言えるでしょう。シリーズの監修は恐竜研究者のデヴィッド・ノーマン、日本語版の監修は小畠郁生が担当し、学術的な側面を支えました。

内容面では、恐竜や太古の生物に関する多様な事柄が、豊富な図解と共に分かりやすく解説されていました。当時の最新の研究成果が多く取り入れられていましたが、1992年から1994年頃の学説に基づいているため、21世紀現在の研究で明らかになった知見とは異なる記述や復元図も含まれています。各号は基本的に表紙と裏表紙、その裏面を除いた24ページで構成されていました。価格は創刊号が特別価格の100円で提供され、第2号以降は490円でした。

魅力的な誌面構成

本シリーズは、概ね10種類のコーナーで構成されており、読者を飽きさせない工夫が凝らされていました。主要なコーナーとしては、毎号3種類の恐竜を詳細な図解と共に紹介するメインコンテンツ「恐竜スター図鑑」（後に太古の動物を扱う「動物スター図鑑」も登場）がありました。また、「恐竜たちの世界」と題されたコーナーでは、恐竜が生きた時代の環境や他の生物との関わりが解説され、後に「おおむかしの動物たち」として独立しました。

ユニークな試みとしては、「恐竜立体ギャラリー」が挙げられます。創刊号などに付属した立体メガネを使うことで、誌面に掲載されたイラストや写真が立体的に見えるというものでした。その他にも、臨場感あふれるパノラマイラストで恐竜の姿を紹介する「恐竜パノラマ写真館」、恐竜の謎に迫る読み物「恐竜ふしぎ探偵団」、恐竜や発見の物語を漫画で描くコーナー、知識を試す「恐竜ものしりクイズ」、AからZ順に恐竜を紹介する「恐竜事典」（後に「おおむかしの動物事典」）、そして後期には恐竜の描き方を解説する「恐竜イラスト教室」など、多角的な視点から恐竜の世界に触れることができました。シリーズ監修者のノーマン博士が読者の質問に答える「恐竜なんでもQ&A」も人気を博しました。

特典と関連企画

分冊百科の魅力の一つである付録も充実していました。創刊号から第38号までは、組み立て式の恐竜や翼竜の骨格モデルのパーツが毎号付属し、全号集めることで完成させることができました。これらの骨格モデルは蓄光素材が使われており、暗闇で光る仕様でした。第38号で骨格モデルの付録が終了した後、その組み立て説明ページは「恐竜立体ギャラリー」のページに充てられました。専用のバインダーも別売りで提供され、集めた冊子を整理して保管できるようになっていました。

また、1994年4月には、通常号とは異なる増刊号『恐竜サウルス! お楽しみブック 恐竜たちと遊ぼう!!』が刊行されました。これは、恐竜をテーマにした工作、ゲーム、クイズなどが中心の特別号で、ティラノサウルスの顔の「サウルス・ガン」や、ゲーム用の「スピナーとコマ」、紙模型用の恐竜の型などが付録として同梱されていました。すごろくやクイズ、間違い探し、迷路、紙模型製作など、子どもが遊びながら恐竜に親しめる様々なコンテンツが掲載されていました。

後継シリーズ『週刊ダイナソー』

『週刊 恐竜サウルス!』の刊行終了後、2001年6月からはデアゴスティーニ・ジャパンより『週刊ダイナソー』が刊行されました。基本的な体裁や構成は『恐竜サウルス!』を踏襲していましたが、幼年層から若年層を意識し、当時公開されたディズニー映画『ダイナソー』のキャラクターが誌面に使用されている点が特徴でした。こちらも恐竜の骨格部品が付録として付属し、ティラノサウルスとステゴサウルスのモデルが完成しました。しかし、『週刊ダイナソー』は『恐竜サウルス!』ほどの長期シリーズとはならず、2001年10月に発売された第21号をもって終了しています。古い学説やイラストが使い回されることもあったようです。

『週刊 恐竜サウルス!』は、当時の子どもたちに恐竜という存在をより身近なものにし、学術的な関心を高める上で大きな役割を果たしたシリーズと言えるでしょう。その後の恐竜関連出版物にも影響を与えた、日本の分冊百科史における重要な一ページを飾る存在です。

もう一度検索