分冊百科

分冊百科について

分冊百科とは、特定のテーマやジャンルに焦点を当て、情報を分けて定期的に刊行される出版物の一種です。この形式の出版物は、通常、各号ごとに異なる内容が提供され、全体が揃うことで完結します。分冊百科には様々な名称があり、パートワーク、週刊百科、ファイルマガジンやワンテーママガジンなどとも呼ばれています。

歴史的背景

分冊百科という形態の出版は、1751年にフランスで発行された『百科全書』（L'Encyclopédie）に起源を持ちます。この百科事典は、フランス啓蒙思想の一環として、ダランベール、ディドロ、ヴォルテール、ルソーといった著名な思想家たちによって編集されました。また、イタリアのデアゴスティーニ社が1959年に科目ごとに分冊した百科事典を手頃な価格で定期刊行したことも、現代の分冊百科の先駆けとされています。

日本では、1970年に日本メールオーダー社が「週刊アルファ大世界百科」を創刊し、その後、朝日新聞社など他の出版社も参入しました。1980年代後半までこの2社が日本の分冊百科市場を支配しましたが、1990年代からは多くの出版社がこの市場に加わり、2000年代には年間の創刊数が20冊以上になるほどの盛況を見せました。

発行形態と価格設定

分冊百科の刊行形態は、主に週刊刊行が一般的ですが、隔週のシリーズも存在します。各号の価格は、内容や付録によって異なり、定価は500円から2000円程度と幅があります。特に創刊号は販売戦略として半額で提供されることが多いです。

シリーズごとの刊行号数や内容は出版社の方針により異なり、追加号が発行されることもあります。この場合、購読者の要望や出版社からの提案で決まることが多いですが、価格面での批判も存在します。

付録の役割

分冊百科の特長として、各号に付録が付くことが挙げられます。本来は冊子が主体でしたが、近年では模型パーツやDVDなどの趣向が取り入れられ、購読者が集めることで最終的な完成品を手に入れることができます。このような付録は単なるおまけではなく、むしろ商品の重要な部分を占めることが増えてきました。例えば、バインダーが付録されたシリーズや、特定のデザインで作られたバインダー用の出版物も見られます。

主な出版社

日本国内での分冊百科の主要な出版社には、デアゴスティーニ・ジャパン、アシェット・コレクションズ・ジャパン、宝島社、講談社、小学館、集英社、朝日新聞出版などがあります。これらの出版社は、さまざまなテーマに特化した分冊百科を発行し、読者に多様な知識を提供し続けています。

分冊百科は、本来百科事典的な要素を持ち、特定のテーマに深く掘り下げた情報を網羅していますが、時にその形態だけが残ることもあります。現在では、より特化した内容が主流となっているため、その多様性と魅力は今でも多くの読者に支持されています。

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