進士晴舎

進士晴舎（しんし はるいえ）

進士晴舎は、戦国時代の武将であり、室町幕府の将軍、足利義晴と足利義輝に仕えた奉公衆の一人です。彼の名にある「晴」の字は、主君である義晴から一字を賜った偏諱によるものです。

生涯

進士晴舎の生涯は、記録に残る史料からその一部を窺い知ることができます。

『大館常興日記』によると、天文9年（1540年）3月30日の記事に、晴舎の父である進士国秀が前年に奉公衆の諏訪長俊と所領を争った結果、その責任を取って剃髪したと記されています。その代わりに、息子の晴舎が奉公衆として仕えることになったとされています。この出来事は、当時の武士社会における家督と責任の継承を示す一例と言えるでしょう。

さらに、『大館常興日記』天文10年（1541年）10月3日の条には、進士長門守澄胤と共に五番衆の一員として、進士新次郎晴舎の名前が記録されています。この記述から、晴舎が奉公衆として一定の役割を担っていたことがわかります。

晴舎の名を歴史に刻んだのは、永禄8年（1565年）の永禄の変における彼の行動でした。永禄8年5月19日（1565年6月17日）、三好三人衆（三好長逸、三好宗渭、岩成友通）らは、清水寺参詣を名目に約1万もの軍勢を率いて御所に押し寄せ、将軍・足利義輝に対し訴訟（要求）があると取り次ぎを求めました。この時、晴舎は将軍と三好勢の間の取次役を務め、訴状の受け渡しのために往復していました。

しかし、三好勢は交渉中にもかかわらず、四方の門から鉄砲隊を侵入させ、攻撃を開始しました。この奇襲に対し、将軍方は応戦しましたが、晴舎は敵の侵入を許したことを深く詫び、将軍・義輝の御前で切腹するという最期を遂げました。

この出来事について、いくつかの解釈があります。一つは、晴舎が三好氏と松永氏との間の取次役であり、交渉が決裂した責任を取って自害したというものです。もう一つは、晴舎の自害が三好勢に交渉決裂とみなされ、それが攻撃開始の合図となったという説です。いずれにせよ、晴舎の死は、この事件の悲劇性を象徴する出来事として捉えられています。

永禄の変は、室町幕府の衰退を象徴する事件であり、この中で晴舎は、武士としての責任感と悲劇的な最期を遂げた人物として記憶されています。彼の行動は、戦国時代の武士の倫理観と、時代の激動を物語るものと言えるでしょう。

まとめ

進士晴舎は、足利義晴と足利義輝に仕えた奉公衆であり、永禄の変で三好氏との交渉役を務めた後、責任を取って自害した人物です。彼の生涯は、室町幕府の衰退と戦国時代の動乱を背景に、武士としての責任感と悲劇的な最期を象徴しています。

参考文献

* 木下昌規 編『足利義輝』戒光祥出版〈シリーズ・室町幕府の研究〉、2018年。ISBN 978-4-86403-303-9。

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