進徳丸

進徳丸：日本の練習船の歴史

進徳丸（しんとくまる）は、日本の海運史において重要な役割を果たした4本マストの帆船です。この船は、1924年に神戸高等商船学校の練習船として竣工し、以降、約21年間にわたり数多くの船員を育成しました。進徳丸は、帆船としての航海に限らず、汽船への転換も経験し、合計で約1万1900名の航海士を育てました。航海総距離は52万9000マイルにも上ります。

竣工と初航海の歴史

進徳丸の建造は、1923年の神戸の三菱造船神戸造船所で始まりました。関東大震災の影響を受けたものの、1924年2月に竣工し、同年5月26日に処女航海を行いました。この航海では、北米のカリフォルニア州サンペドロまで到達しました。航海のシーズンが続く中、進徳丸は北米海岸や中部太平洋、オーストラリアを中心に数多くの遠洋航海を行いました。

第二次世界大戦とその後

1941年に始まった太平洋戦争後、進徳丸は逓信省海務院の管理下に置かれ、1942年まで日本近海での練習に使用されました。しかし、戦局が悪化する中、1944年に帆装が撤去され、汽船練習船に転換されました。その後の1945年には、敵機の攻撃を受け大きな損傷を負い、着底する事態になりました。1946年に引き揚げられた後、再び修理を受け、学生への航海訓練を続けながら、様々な目的のために利用されました。

廃船と保存

1963年に進徳丸は正式に廃船となり、以降は神戸港に係留されましたが、1967年には神戸商船大学キャンパス内に移され、陸上に保存されました。この地域では青少年教育の場として使用され、進徳丸は重要な教育資源となりました。ところが、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災により地盤ごと大きな被害を受け、復旧が困難になりました。1996年までには解体が進められ、進徳丸の一部が使用された記念館「進徳丸メモリアル」が2005年にオープンしました。

進徳丸メモリアル

現在、進徳丸メモリアルには船首や機関部、マスト、船長公室などが展示されており、見学が可能です。進徳丸の歴史は、日本の船舶技術や航海の教育における重要な側面を示しています。記念館はその遺産を後世に伝え、多くの訪問者に進徳丸の偉大な航海の歴史を知ってもらう場となっています。

進徳丸の名は、未来の海事技術者や航海士たちにとっても引き継がれていくことでしょう。

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