進歩党 (韓国)

進歩党：韓国第一共和国時代の革新政党

進歩党は、韓国第一共和国において、自由党に対抗する勢力として誕生した革新政党です。その活動は短命に終わりましたが、韓国政治史において重要な役割を果たしました。本稿では、進歩党の成立から解散までの経緯、その主張や活動、そして主要人物について詳細に解説します。

成立への経緯

進歩党の成立は、李承晩大統領率いる自由党に対抗しようとする勢力の動きに端を発します。自由党に対抗勢力として結成された民主党に含まれなかった進歩主義者たちが、独立した政党結成を目指しました。曺奉岩、徐相日、朴己出といった進歩主義者たちは、1956年1月26日に「進歩党推進委員会」を結成。同年5月の大統領選挙では、曺奉岩を大統領候補、朴己出を副大統領候補として擁立しました。

選挙戦は、自由党による激しい弾圧の中で行われました。しかし、当初は野党候補として強い支持を集めていた申翼熙民主党大統領候補が急死したことで、野党候補の一本化が図られ、朴己出は立候補を辞退。曺奉岩一人での選挙戦となりました。結果、曺奉岩は自由党の弾圧にもかかわらず、前回選挙より3倍近い216万票を獲得し、李承晩に次ぐ得票数を得ました。

その後、徐相日派との組織的な対立により分裂がありましたが、曺奉岩を中心とした勢力は1956年11月10日に進歩党を正式に結成。委員長には曺奉岩、幹事長には尹吉重が選出されました。

党の綱領と主張

進歩党は、「労働者、農民を中心に、進歩的知識人、中小商工業者、良心的な宗教人など、広範な勤労大衆の政治的結集体」として、国民大衆の利益実現を目指しました。その基本路線として掲げられた3大綱領は、以下の通りです。

1. 責任ある革新政治
2. 収奪のない計画経済
3. 民主的平和統一

特に「南北朝鮮の平和統一」については、国際連合の監視下での南北朝鮮総選挙を主張しました。しかし、この主張は北朝鮮の主張と類似していたことから、疑念を持たれることとなりました。

党員構成としては、マルクス主義者よりも左翼ナショナリストが多数を占めていました。

解散：進歩党事件

進歩党は、自由党はもちろんのこと、保守系野党からも警戒の目を向けられていました。1958年1月1日、曺奉岩ら幹部がスパイ容疑で逮捕される「進歩党事件」が発生。曺奉岩は翌1959年に処刑されました。この事件を機に、進歩党は同年2月25日に政党登録を取り消され、事実上解散しました。

まとめ

進歩党は、韓国第一共和国において自由党に対抗する革新政党として重要な役割を果たしましたが、その活動は短期間に終わりました。進歩党事件は、韓国政治史において大きな転換点となり、自由党による弾圧の象徴として記憶されています。その存在と終焉は、韓国民主主義の歩みにおいて、複雑な意味を持つ重要な一頁を刻んでいます。また、党の綱領や主張は、後の韓国の政治運動にも影響を与えたと考えられています。

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