運送契約

運送契約について

運送契約は、物品や旅客をある地点から他の地点へ移動させることを目的とした契約です。運送を行う業者は「運送人」と呼ばれ、この契約の締結を通じて運送サービスを提供することになります。運送契約を規定する法律は複数存在しますが、実際の契約内容は運送人が事前に策定した運送約款によって定まることが多いです。

物品運送契約と旅客運送契約

物品運送契約

物品運送契約は、運送人が荷送人や傭船者などと締結し、物品を運送することを約束します。この契約では、運送相手方がその対価として運送賃を支払う必要があります。この契約形態は諾成・不要式とされ、形式的な手続きがなくても効力を発します。

運送人が自らの輸送手段（トラックや船舶、航空機など）を利用して物品を運ぶことを「実運送契約」と呼びます。一方、運送人が他の運送業者（下請運送人）に運送を委託する場合は「利用運送契約」となり、利用運送人は契約当事者としての義務を持ちます。これに対し、運送取扱人は業務の一部を担当することがあるが、契約上の義務は負いません。

旅客運送契約

旅客運送契約では、運送人が旅客の運送を行うことを約束し、その対価として旅客が運送賃を支払います。こちらの契約も諾成・不要式で、通常は旅客が運送契約の当事者となります。

運送契約の種類

運送契約にはいくつかの種類があり、それぞれの運送形態によって異なる規則があります。

陸上運送契約

陸上運送に関しては、ヨーロッパでは「道路による貨物の国際運送に関する条約」（CMR条約、1956年）や「鉄道による貨物輸送に関する国際条約」（COTIF条約、1980年）などが合意されています。また、日本においては鉄道運送契約に関する特別法として鉄道営業法が設けられています。

海上運送契約

海上運送契約に関しては国際的な条約があり、「船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約」（ヘーグ・ルール、1924年）やその改正議定書である「1968年改正議定書」（ヘーグ・ヴィスビー・ルール）・「1979年改正議定書」が存在します。

航空運送契約

航空運送に関する国際条約としては、「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」（ワルソー条約、1929年）と、より新しい形で策定された「モントリオール条約」（1999年）があります。これらは航空運送に関わる重要な法的枠組みを提供しています。

まとめ

運送契約は物品や旅客を運搬するために不可欠な契約形態であり、さまざまな規律や法律によって支えられています。取引の安全性や運送人の義務を理解することは、荷送人や旅客にとって重要です。各種の運送契約の仕組みを知ることで、より良い運送サービスの利用が可能になるでしょう。

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