過塩素酸アンモニウム

過塩素酸アンモニウム (Ammonium Perchlorate)

過塩素酸アンモニウム（かえんそさんアンモニウム、ammonium perchlorate）は、過塩素酸のアンモニウム塩であり、化学式 NH₄ClO₄ で表される無機化合物です。

化学的性質

外観: 無色の結晶。
分解: 多くのアンモニウム塩と同様に、溶融する前に分解します。
酸化性: 非常に強い酸化剤であり、可燃物と混合すると、熱、衝撃、摩擦などによって激しく燃焼・爆発する可能性があります。
熱分解: 加熱すると約150℃で分解を開始し、酸素を発生させます。400℃で発火し、分解時に大量のガスを発生するため、非常に危険です。


2 NH₄ClO₄ → Cl₂ + N₂ + 2 O₂ + 4 H₂O

爆発性: 強熱すると爆発する可能性があります。

製造

過塩素酸アンモニウムは、アンモニアと過塩素酸の中和反応によって製造されます。また、過塩素酸ナトリウム水溶液に塩化アンモニウムを加えて析出させる方法でも製造できます。

用途

ロケット推進剤: 過塩素酸アンモニウムは、合成ゴムや金属粉と混合され、コンポジット推進薬（APCP）としてロケットエンジンの推進剤に使用されます。スペースシャトルやH-IIロケットの固体燃料ロケットブースターにも用いられました。
火薬: 産業用火薬の一種であるカーリットの主原料としても使用されます。
接着剤: 300℃までの結合力を持つ一部のエポキシ系接着剤にも含まれています。

規制

過塩素酸アンモニウムは、GHS（化学品の分類および表示に関する世界調和システム）において、火薬類（区分1.1）または酸化性固体（区分2）に分類され、各国で貯蔵や輸送に関する規制があります（国連番号0402または1442）。日本では、船舶安全法や航空法によってGHSに基づく規制があり、消防法では危険物第1類に指定されています。

環境への影響

過塩素酸アンモニウムの燃焼生成物には、有毒で発癌性のある塩素化合物が含まれています。これらの物質はオゾン層を破壊し、酸性雨や地球温暖化の原因となる可能性があります。

関連項目

* ペプコン大爆発

脚注

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