道家達将

道家達將（1928年-2024年6月8日）氏は、日本の科学史研究に多大なる貢献を果たした科学史家です。1976年には北海道大学より理学博士号を取得し、東京工業大学名誉教授の称号も贈られています。

愛知県出身の道家氏は、海軍兵学校を経て、名古屋大学理学部化学科を卒業後、同大学物理学科研究生を修了しました。その後、紀伊國屋書店や和光学園での勤務を経て、1963年に東京工業大学助手として着任。助教授、教授を歴任し、1989年に東京工業大学を退官、名誉教授となりました。

東京工業大学退官後は、茨城大学人文学部教授や放送大学教授として教鞭をとり、後進の育成にも尽力しました。多岐に渡る教育活動と研究活動は、日本の科学史教育の発展に大きく寄与しています。

その研究活動においては、数多くの著書や共編著、翻訳を発表しました。単著としては、『空気』（1959年）、『日本の科学の夜明け』（1979年）、『新・ろうそくの科学』（1981年）など、理科教育に貢献する書籍から、『人間の歴史を考える』（1994年）、『科学と技術の歩み』（1995年）など、より広い視野を持つ一般向け書籍まで幅広く執筆しています。

共編著においても、『医学の発展』（1957年）、『道を開いた人びと』（1962年）、『シリーズ 教科の論理と心理 第5 理科編』（1968年）、『二十世紀科学の原流』（1968年）など、科学技術史に関する様々な側面を網羅した著作を残しています。また、放送大学での講義に関連する共編著も多く手がけています。

さらに、翻訳においても『物理の歴史』（1966年）、『医学の歴史』（1966年）、『五人の大科学者』（1975年）、『人間の進歩』（1980年）、『自然界における五つの時間』（1984年）、『二重らせんへの道』（1996年）、『古代の技術史』（2008年）など、海外の優れた科学史関連書籍を日本語に紹介することで、日本の読者への理解を深める役割を果たしました。

これらの業績は、日本の科学史研究を深化させ、教育に役立てることに貢献するだけでなく、科学技術の発展と社会との関わりについて、広く一般の人々に理解させるための努力を惜しまなかったことを示しています。道家氏の研究と教育活動は、日本の科学史研究における重要な足跡として、長く記憶されることでしょう。95歳での逝去は、日本の科学史界にとって大きな損失となりました。

参考文献として、道家氏自身の論文「5. 幕末・明治初期の化学技術者, 宇都宮三郎ゆかりの地を訪ねて(化学風土記 : わが街の化学史跡)」が挙げられます。この論文は、日本の化学技術史における具体的な人物や場所を取り上げ、詳細な調査に基づいた貴重な資料となっています。

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