遜清皇室小朝廷

遜清皇室小朝廷

遜清皇室小朝廷（そんしんこうしつしょうちょうてい）は、1912年2月の清朝滅亡後、紫禁城において維持された清朝皇室を指します。これは、滅亡後の清朝が、一定の条件のもとで存続を許された特異な状況下で生まれた存在です。別名として、遜清小朝廷、清室小朝廷、満清小朝廷、紫禁城小朝廷、宣統小朝廷、溥儀小朝廷などがあります。

成立の背景

1912年、辛亥革命により清朝は滅亡しましたが、袁世凱率いる中華民国臨時政府との間で「清室優待条件」が結ばれました。これにより、清朝皇室は紫禁城に居住し、一定の財産や尊厳を保持することが認められました。この条件のもと、宣統帝溥儀を中心に、かつての宮廷組織や官僚機構が縮小された形で維持され、小朝廷が形成されました。

小朝廷の終焉

しかし、この状態は長くは続きませんでした。1924年11月、北京政変が発生し、馮玉祥によって溥儀は紫禁城から追放され、清室優待条件は一方的に破棄されました。これにより、遜清皇室小朝廷は完全に終焉を迎えました。

意義と影響

遜清皇室小朝廷は、中国の歴史における過渡期を象徴する存在です。滅亡した王朝が、首都の一角で一定の権威を保ちながら存続するという異例の事態は、当時の政治情勢の複雑さを物語っています。また、小朝廷の存在は、その後の満州国の成立にも影響を与えたと考えられています。

関連事項

清室優待条件
北京政変

参考文献

愛新覚羅溥儀『わが半生　「満州国」皇帝の自伝』
レジナルド・ジョンストン『完訳 紫禁城の黄昏』
凌海成『最後の宦官　溥儀に仕えた波乱の生涯』
舩木繁『皇弟溥傑の昭和史』
秦国経編著『溥儀　1912-1924　紫禁城の廃帝』
王慶祥『溥儀・戦犯から死まで　最後の皇帝溥儀の波瀾にみちた後半生』
賈英華『愛新覚羅溥儀最後の人生』
李淑賢『わが夫、溥儀―ラストエンペラーの妻となって』
賈英華『最後の宦官秘聞　ラストエンペラー溥儀に仕えて』
入江曜子『溥儀―清朝最後の皇帝』

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