遠州鉄道浜松東営業所

遠州鉄道 浜松東営業所

遠州鉄道（遠鉄バス）の浜松東営業所は、静岡県浜松市中央区豊町2253に位置する拠点営業所です。主に浜松市内全域と磐田市の一部エリアの路線バスを管轄しており、遠鉄バスの営業所の中で唯一、浜松市の全区にわたる路線を担当しています。かつて存在した浜松南営業所と同様に、現在は窓口業務は行われていません。

この営業所は、もともと現在の遠鉄ストア浜北店がある場所にあった浜北営業所が移転したもので、移転前は笠井上町車庫として機能していました。

所管路線

浜松東営業所は、浜松市東部や北部を中心に、広範なエリアを結ぶ複数の主要路線を所管しています。

早出線（系統番号2）
浜松駅とイオンモール浜松市野などを結ぶ幹線です。かつてはさぎの宮線と統合され「早出さぎの宮線（2-54）」として運行されていた時期もありました。系統番号の「2」は、かつて米津線に付与されていた番号が引き継がれたものです。歴史的には、浜松市営バスの早出蒲線や曳馬線の一部区間をルーツに持ちます。経路変更やイオンモール浜松市野への乗り入れなどを経て、現在の形態に至っています。特定の区間では、夜間にフリー降車が可能な便があります。

蒲小沢渡線（旧称）
1985年に、遠鉄バスの小沢渡線、高畑善地線、笠井線の一部と、浜松市営バスの上西線、早出蒲線、さぎの宮線（市営）を統合して新設された路線群です。当初は浜松駅をスルーする運行形態が中心でしたが、現在は路線が「蒲線」と「小沢渡線」に分離され、朝の一部を除きスルー運転はほぼ行われていません。

蒲線（系統番号74, 77, 78）
浜松駅を起点に、労災病院や丸塚町などを経由し、イオンモール浜松市野、笠井上町、産業展示館などを結びます。74系統は浜松市営バスさぎの宮線、71系統（現在は経路変更）や72系統（廃止）は市営バス上西線などをルーツとしています。経路や経由地（近藤紡→遠鉄ストア天王店など）の変更、イオンモール浜松市野への延伸などを経て現在に至ります。74、77系統の一部は、沿線人口減少などにより運行維持が困難なため、国・県・市からの補助を受けて運行されています。

小沢渡線（系統番号16-4）
浜松駅を起点に、春日町や天方産業などを経由し、小沢渡、柏原西、浜松市総合水泳場などを結びます。浜松南高校への直通便も設定されています。系統番号「16-4」は、かつて存在した別の系統番号の一部に由来します。登場時は蒲方面との直通はありませんでしたが、後に一部便で直通が復活しました。終点である柏原西の方向幕が「小沢渡」となっているのは、過去の終点表示の名残です。特定の区間では夜間にフリー降車が可能な便があります。

笠井線（系統番号73, 75, 76）
浜松駅と笠井上町を結ぶ路線です。かつては「笠井高台線」として高台線とスルー運転を行っていましたが、現在は分離されています。75系統は労災病院経由が中心ですが、76系統は労災病院正門のみを経由する便です。夜間の一部便のみ、73系統として丸塚町経由で運行されます。かつては子安経由の70系統が主系統でしたが、現在は労災病院経由が中心となりました。

高台線（系統番号41）
浜松駅を起点に、ゆりの木通りや市役所南、葵町などを経由し、花川運動公園へ向かう路線です。かつての「吉野線」が起源で、笠井高台線として笠井線と直通していた時期がありました。過去には北部水泳場経由や聖隷三方原病院行きの便も存在しました。特定の区間では夜間にフリー降車が可能な便があります。

内野台線（系統番号61）
浜松駅と内野台車庫、サンストリート浜北などを結ぶ路線です。浜北西高校へのスクール便も運行されます。かつては宮口駅まで運行されていました。路線の維持のため、国・県からの補助を受けています。サンストリート浜北への乗り入れは時間帯が限られており、内野台車庫から先は降車専用となる区間があります。特定の区間では夜間にフリー降車が可能です。2025年3月には西部免許センター行きの運行が終了予定です。

浜北医大三方原聖隷線（系統番号100）
浜北駅を起点に、小松駅、染地台、医科大学などを経由し、聖隷三方原病院へ向かう路線です。啓陽高校へのスクール便も運行されています。かつて豊岡線の一部区間を含んでおり、染地台への乗り入れなど経路変更が行われました。路線の維持のため、国・県からの補助を受けています。平日の始発便と土日祝の最終便は三方原営業所が起終点となります。2025年3月には小松駅バス停の移設・名称変更が予定されています。

上島イオン市野線
上島駅東とイオンモール浜松市野を結ぶ路線です。前身はイオンが運行を委託していた無料シャトルバスでした。路線バス化後、「おかえりきっぷ」によりイオンモールからの乗車が実質無料となるサービスを提供しています。早出線の延伸により、運行本数が一部減回されています。

鹿島線（時刻表上）および秋葉線（系統番号なし）
西鹿島駅を中心に、山東、秋葉橋、春野車庫、浜松市春野支所などを結ぶ路線です。路線図上では秋葉線として扱われ、鹿島線としての表記はありません。これらの路線は、天竜営業所が統合された際に浜松東営業所の所管となりました。かつては浜松駅まで運行する60系統の秋葉線も存在しました。路線の維持のため、国・県・市からの補助を受けて運行されています。

その他の路線
掛塚さなる台線（系統番号9）の下り便、萩丘都田線（系統番号53）、磐田天竜線（系統番号30, N.Liner）の一部系統も所管しています。これらの路線の一部も、運行維持のために補助を受けている区間があります。

バス停名称変更例

所管路線に関連して、近年以下のようなバス停名称変更が行われています。

「近藤紡」 → 「遠鉄ストア天王店」
「丸塚東」 → 「浜松プラザ北」
「マキ製作所」 → 「篠ヶ瀬北」
「養源寺前」 → 「下石田南」
「笠井公民館」 → 「笠井協働センター」
「イオン市野ショッピングセンター」 → 「イオンモール浜松市野」
「栩木南」 → 「とちの木南」
「ムトウ」「株式会社スクロール」
「宮竹北」 → 「浜松プラザ」
「JA東支店」 → 「JA東・中央営農センター」
「大平東」 → 「浜松西インター東」
「北小入口」 → 「山下町」
「高林」 → 「高林中」、「日赤病院前」 → 「遠鉄ストアフードワン高林店」（高林南の後）
「上島西」 → 「上島北」（移設・名称変更）
「早出町北」 → 「上島四丁目」
「中部電力」 → 「小松北」
「春野高校」 → 「天竜高校春野校舎」
「犬居中」 → 「犬居すみれ通り」
「春野協働センター」 → 「浜松市春野支所」（行政区再編に伴い）

車両

浜松東営業所には、小松駅での後退入線に備え、ツーステップバスを含む一部車両にバックモニターが設置されています。他の営業所と比較して、日野自動車製の車両、特に日野・ブルーリボンのオムニバスが多く導入されており、日野車の比率がやや高い傾向があります。

この営業所は、浜松市東部・北部・浜北区、そして磐田市の一部を結ぶ遠鉄バスネットワークの中核を担う存在です。

もう一度検索