遠州鉄道鉄道線

遠州鉄道鉄道線：地域を繋ぐ「赤電」

遠州鉄道鉄道線は、静岡県浜松市内の新浜松駅から西鹿島駅を結ぶ全長17.8kmの鉄道路線です。通称「遠鉄電車」として親しまれ、地域住民の生活を支える重要な足となっています。この路線は、その短い駅間距離と高頻度運転、そして比較的低廉な運賃が特徴で、都市近郊型鉄道として機能しています。

概要

遠州鉄道鉄道線は、全18駅中16駅に列車交換設備が設けられており、単線ながらも12分間隔の高頻度運転を実現しています。これは、朝夕のラッシュ時を除き、毎時上下各5本という運行頻度を誇ります。また、2007年からは駅ナンバリングが導入され、駅名標や路線図に駅番号が表示されるようになりました。路線記号も付与され、駅番号と併用されています。

路線は新浜松駅から上島駅までが高架化されており、一部区間では東名高速道路や新東名高速道路の下を通過します。沿線は住宅地や商店が多く、地域住民の日常生活に密着した路線であることが伺えます。

自動改札機は導入されていませんが、全駅に自動券売機が設置されています。また、時刻表検索システム「ET-Navi」が導入されており、運行状況の確認が可能です。さらに、公式マスコットキャラクター「アカデンジャー」が親しまれています。

路線データ

路線距離: 17.8km
軌間: 1067mm
駅数: 18駅
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: 全線（直流750V）
閉塞方式: 自動閉塞式
最高速度: 70km/h
IC乗車カード: ナイスパスエリア全線対応（全国相互利用サービス対応交通系ICカードは利用不可）

運行形態

早朝と深夜を除く時間帯は、12分間隔で各駅停車が運行されています。全列車が新浜松駅 - 西鹿島駅間を直通し、途中駅を始発・終着とする列車はありません。以前は急行列車や区間列車も運行されていましたが、現在は全列車が各駅停車です。

基本的には2両編成での運行ですが、平日の朝夕ラッシュ時には4両編成に増結されます。また、イベント開催時や年末年始など、多客が見込まれる場合にも臨時で4両編成での運行が行われます。全列車に車掌が乗務しており、ワンマン運転は行われていません。

始発列車は西鹿島駅5時20分発、最終列車は新浜松駅23時40分発です。忘年会シーズンには、臨時列車「ミッドナイトトレイン」が運行されることもあります。

利用状況

1985年以降、乗車人員は増加傾向にあり、1975年の輸送量を上回っています。この間、新浜松駅の高架化やルート変更、運転所要時間の短縮が行われました。また、遠州鉄道鉄道線の営業成績も、全体的に見て堅調に推移しています。

運賃と乗車券

遠州鉄道鉄道線では、現金（乗車券）の他、遠鉄独自のICカード「ナイスパス」が利用できます。ただし、SuicaやPASMOなどの全国相互利用サービス対応の交通系ICカードは利用できません。

かつては回数券や磁気カードも発売されていましたが、現在は販売を終了しています。定期券は「ナイスパス定期券」に統一されています。

一日乗車券は、鉄道線のみ利用できる「あかでん1日フリーきっぷ」や、バス・鉄道全線が利用できる「遠鉄ぶらりきっぷ」など、様々な種類が販売されています。また、JR東海が発売する「JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」も利用可能です。

自動券売機

全駅に自動券売機が設置されており、タッチパネル式でナイスパスにも対応しています。一部の券売機では、定期券の更新も可能です。

車両と設備

全車両に音声合成装置が装備されており、自動放送が行われます。ただし、新浜松駅と西鹿島駅発車後は肉声による案内も行われます。また、1000形以降の車両では2段LED案内表示器が採用されており、下段には見えるラジオを受信して文字情報が表示されます。

歴史

遠州鉄道鉄道線の歴史は古く、1909年に大日本軌道浜松支社が浜松 - 鹿島間を開業したことに始まります。その後、幾度かの譲渡や社名変更を経て、1943年に遠州鉄道が発足しました。

1923年には、軌間を1067mmに変更し、全線電化されました。その後、路線の延伸や駅の改称、高架化工事などを経て、現在の形に至っています。

1958年には、国鉄二俣線（現：天竜浜名湖線）への乗り入れを開始しましたが、1966年に廃止されました。

二俣線・天竜浜名湖線との乗り入れ構想

近年、浜松市の新市建設計画において、天竜浜名湖線との乗り入れ構想が浮上しています。しかし、多額の事業費や運営費、そして需要量の問題から、現時点では実現していません。

駅一覧

全駅が静岡県浜松市内にあります。駅一覧は以下の通りです。

新浜松駅
第一通り駅
遠州病院駅
助信駅
曳馬駅
上島駅
さぎの宮駅
積志駅
自動車学校前駅
遠州小林駅
浜北駅
美薗中央公園駅
遠州芝本駅
岩水寺駅
西鹿島駅

廃止区間

新浜松駅 - 遠州馬込駅 - 遠州浜松信号場（旧・遠州浜松駅） - 遠鉄浜松駅

過去の接続路線

遠州馬込駅：中ノ町線
遠鉄浜松駅：奥山線
遠州西ヶ崎駅：笠井線
* 遠州貴布禰駅：西遠鉄道

まとめ

遠州鉄道鉄道線は、浜松市内の主要な交通手段として、地域住民の生活に深く根ざしています。高頻度運転と比較的低廉な運賃、そして「赤電」の愛称で親しまれるその姿は、これからも地域の足として、多くの人々に利用され続けるでしょう。

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