遠藤俊通

遠藤俊通/遠藤秀隆（えんどう としみち/えんどう ひでたか）

遠藤俊通（えんどう としみち、生年不詳 - 元和6年8月4日（1619年9月11日））は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将であり、遠藤秀隆は同一人物を指す別名と考えられる。宇喜多氏の家臣として知られ、通称は喜三郎。

生涯

遠藤氏は、遠藤与市左衛門の子として阿波国（現在の徳島県）に生まれた。遠江国（現在の静岡県西部）を本貫地とする一族であり、生国の阿波を離れた後は備中国（岡山県西部）や美作国（岡山県北部）を転々とし、最終的に宇喜多直家に仕えることになった。

三村家親暗殺

永禄9年（1566年）、宇喜多直家は備中国で勢力を拡大していた三村氏に対し、当主である三村家親の暗殺を企てた。正面からの衝突を避けた直家は、遠藤俊通にこの密命を与えた。兄である遠藤秀清と共に、俊通はこの難題に挑み、見事に成功させた。

遠藤兄弟が暗殺者に選ばれたのは、彼らが火縄銃の扱いに長けていたことに加え、備中成羽にいた頃に三村家親の顔を見知っていたためである。しかし、兄弟自身は暗殺が容易に成功するとは考えておらず、直家に対し「もし失敗した場合、生きて帰ることはないだろうから、残された家族を頼む」と申し出たという逸話が残っている。

暗殺は、三村一族が美作攻略のために興善寺で軍議を開いていた夜に実行された。兄弟は首尾よく陣中に忍び込み、家親を狙撃することに成功した。しかし、銃声が響いたにもかかわらず、陣中に動揺は見られなかった。この状況を不審に思った兄弟が直家に報告したものの、当初直家は暗殺の成功を信じなかった。

実は、遠藤兄弟の放った銃弾は家親を確かに撃ち抜いていた。しかし、三村家の重臣である三村親成が機転を利かせ、陣中を巧みにまとめ上げた。親成が家親の代わりとなって指揮を執ったため、三村家の軍勢は整然と行動していたのである。その後、家親は体調不良を理由に備中松山へ退却し、その死が公表されたことで、ようやく直家は暗殺の成功を認めた。

この事件は、杉谷善住坊が元亀元年（1570年）に織田信長を火縄銃で暗殺しようと企てた事例よりも4年早く、銃による要人狙撃事件としては日本で最も早い事例の一つとされている。

関ヶ原の戦いとその後

その後、俊通は直家の子である宇喜多秀家にも仕え、各地を転戦した。しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後、隠居することになる。元和6年（1619年）に87歳で死去し、法名は慶寿。墓は備前国赤坂郡西中村（現在の岡山県赤磐市山陽）にあったと伝えられている。

俊通には3人の子がおり、そのうち孫兵衛の家系は岡山藩士として存続した。

関連項目

* 遠藤秀清 - 実兄であり、三村家親暗殺を共に行った。

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