遠藤源六

遠藤 源六

遠藤 源六（えんどう げんろく）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の海軍文官、法制官僚、そして法学者です。1872年9月17日（明治5年8月15日）、宮城県栗原郡の白幡村（現在の栗原市）に遠藤佐源治の三男として生を受けました。号は虚舟。

旧制第一高等学校を経て、1900年7月に東京帝国大学法科大学でフランス法を専攻し卒業。さらに同大学院に進み、法学の研究を深めました。大学院在学中の1900年8月には海軍省に入省し、主理試補として東京軍法会議に配属されます。同年11月には文官高等試験に合格し、以後、海軍省内で参事官や司法局員、海軍大学校の教官などを務めました。また、大本営や佐世保捕獲審検所の評定官、海軍経理学校教官なども歴任し、軍事法務に関わる多様な業務に携わります。この間、明治大学で講師を務め、1908年1月15日には法学博士号を取得しました。

1913年6月に行政裁判所の評定官に転じ、行政法分野での活動を開始します。海軍大学校では嘱託教授として国際法を、陸軍大学校でも嘱託教授として国際公法学を講義するなど、学者としての顔も持ち続けました。法制局の参事官や臨時法制審議会の幹事として法制度の整備にも関与し、行政裁判所では部長を務めます。そして、1942年9月には遂に行政裁判所の長官に就任し、終戦期にかけて日本の行政法務の最高責任者の一人としてその重責を担いました。

戦後、議定官を経て、1946年3月19日には枢密院顧問官に任命されます。しかし、日本の統治機構の改革により枢密院が廃止される1947年5月2日までの一年余りの在任となりました。

公職を離れた後も、遠藤は学術界での貢献を続けます。1948年5月から1959年3月までの約11年間、母校の一つである明治大学で教授として後進の指導にあたりました。定年退職後は同大学の名誉教授となり、その永年の功績が称えられました。

法学者としては、特に国際法、刑法、行政法などの分野で多くの著作を残しています。『国際法要論』や『戦時禁制品論』、『刑法施行法評釈』など、研究者・実務家双方にとって重要な文献を発表しました。戦後には『日本国憲法要論』も著しています。

その生涯を通じて、日本の法制度や軍事法務、そして学術研究に深く関わり、従七位から正三位に至る位階や、勲五等双光旭日章から勲一等瑞宝章、そして旭日大綬章に至る数々の栄典に浴しました。98歳の長寿を保ち、1971年5月13日にその波乱に富んだ生涯を閉じました。

参考文献：
国立公文書館所蔵 枢密院高等官履歴
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』
* 日外アソシエーツ『20世紀日本人名事典』

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