選子内親王

選子内親王について

選子内親王（せんし（のぶこ）ないしんのう）は、第62代村上天皇の第10皇女であり、その母は中宮・藤原安子（藤原師輔の娘）です。彼女は「大斎院」として知られ、長い間斎院としての役割を果たしました。その人生は、皇族としての苦悩と栄華に満ちていました。

幼少期と早期の人生

選子内親王は生まれて5日目で母である安子が産褥死してしまいます。その後、彼女は安子の兄である藤原兼通とその妻・昭子女王によって引き取られ、堀河殿で育てられました。天延2年11月11日に清涼殿で着裳の儀式を行い、この儀式では彼女の結腰役には昭子女王が、理髪役には典侍であり兼通の側室である大江皎子が選ばれました。

彼女は天延3年の6月25日、尊子内親王の退下を受けてわずか12歳で賀茂斎院に卜定され、以降57年間にわたりその職務に就き続けました。この期間中、円融、花山、一条、三条、後一条天皇といった5代の天皇の治下で過ごし、特有の地位を確立しました。

大斎院としての活動

選子内親王はその在位中に大変な尊崇を受けました。彼女は万寿元年に一品に叙せられましたが、長元4年に老病のため斎院としての役目を退くことになります。晩年には出家し、長元8年の6月22日に72歳で亡くなりました。

人物としての特性

選子内親王の生涯は、彼女が母方の九条流の摂関家と深い関わりを持ちながらも、皇族としての役割を果たし続けたものでした。彼女の思想や価値観は内親王自身の人柄に色濃く表れており、摂関家との交流を大切にしていたことがうかがえます。『枕草子』では、中宮定子との季節の交流が描かれ、また『大鏡』や『栄花物語』においては藤原道長との機転の利いたやり取りが記されています。

清少納言や紫式部といった文学者たちは、選子内親王に関しても尊敬の念を抱いており、彼女の人柄や斎院御所の風雅を高く評価しています。清少納言は「宮仕所は、内裏、后宮、その御腹の一品の宮など申したる。斎院、罪深かんなれどおかし」と宮仕えの格上を挙げて取り上げており、紫式部はその日記の中で斎院の女房を非難しつつも、選子内親王の人柄や斎院の趣を称賛しました。

歌集と文化的影響

選子内親王は詩や歌にも力を入れ、多くの歌集を著しています。代表的なものには『大斎院前御集』、 『発心和歌集』、及び『大斎院御集』があります。これらの作品を通して、彼女の感受性や文化的な成果は後世に受け継がれ、彼女の存在は日本の歴史や文化において非常に重要な位置を占めています。彼女の生涯は、摂関家との関係や長い斎院生活を通じて、多くの人々に影響を与え続けているのです。

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