選挙委員会 (香港)

香港選挙委員会について

香港の選挙委員会は、香港特別行政区の選挙制度において重要な役割を担う機関です。各級の議員、職能団体、社会団体から選出された委員によって構成され、その定数は1,500名、委員の任期は5年と定められています。

歴史的背景

選挙委員会の起源は、クリストファー・パッテン総督による選挙改革に遡ります。立法局における総督任命議員を間接選挙に切り替えるため、創設されました。当初の定数は100名と少数でしたが、職能団体や社会団体内の有権者範囲が拡大されたことで、香港住民の約半数が有権者資格を得ました。ただし、有権者登録が必要だったため、実際に登録した住民は約4分の1にとどまりました。

現在の役割と課題

現在、選挙委員会の主な役割は、行政長官の選出です。返還前の第一期行政長官選挙では、定数400名、委員の選出方法も現在とは異なりました。第二期行政長官選挙から、現在の制度と定数になっています。

返還後の立法会では、第一期で10名、第二期で6名の議員を選出しましたが、第三期以降は選出枠がなくなりました。選挙委員会は間接選挙の一種と見なせますが、その代表性には大きな課題があります。

まず、全国人民代表大会や全国政治協商会議の香港代表が「当然」委員とされています。しかし、これらの代表は、香港住民による民主選挙によって選出されていません。職能組合についても、有権者や立候補資格がごく一部に限定されています。さらに、2021年の全国人民代表大会では、選挙制度の改善に関する決定が可決され、選挙委員会の定員は1,500名に増員されました。その一方で、民主派が多数を占めていた区議会枠が廃止され、民主派排除の動きが強まっています。

委員の内訳

2016年の改正では、委員の定数は1,194名となりました。その内訳は以下の通りです。

企業・産業界（計299名）

保険業界(18)
航運交通業界(18)
不動産業界(18)
旅行業界(18)
商業界(第一)(18)：香港總商會所属
商業界(第二)(18)：香港中華總商會所属
工業界(第一)(18)：香港工業總會所属
工業界(第二)(18)：香港中華廠商聯合會所属
金融業界(18)
金融サービス業界(18)
輸出入業界(17)
紡織および衣料業界(18)
卸売および小売業界(18)
ホテル業界(17)
飲食業界(17)
香港僱主聯合会(16)
香港中国企業協会(16)

専門職（計300名）

教育関係者(30)
弁護士(30)
会計士(30)
医療(30)
衛生サービス(30)
エンジニア(30)
建築・測量および都市計画(30)
IT(30)
高等教育関係者(30)
中医（漢方医）(30)

社会団体など関係者（計300名）

漁業農業界(60)
労働組合(60)
社会福祉(60)
スポーツ・芸能・文化および出版業界(60)
宗教関係者(60)

各級議会議員など（計295名）

新界各[区議会]
立法會(68)
港九各[区議会]
全国政治協商会議香港地区委員(51)
全国人民代表大会香港代表(33)
[郷議局]

まとめ

香港選挙委員会は、香港の政治システムにおいて重要な役割を果たしていますが、その構成や選出方法には、民主的な代表性の欠如といった課題が指摘されています。今後の香港の政治動向を考える上で、選挙委員会の動きは引き続き注目されるでしょう。

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