遺作 (ゲーム)

遺作（いさく）

概要

『遺作』は、1995年8月25日にエルフからリリースされた18禁アドベンチャーゲームである。この作品は、伊頭家シリーズの第1作であり、後の同じコンセプトを持つ作品の先駆けとしての地位を確立した。ゲームの主な舞台は桜蘭学園の旧校舎であり、プレイヤーは主人公の小暮健太として、他の登場人物たちとともにさまざまな困難に立ち向かわなければならない。タイトルにもかかわらず、遺作自身はプレイヤーの仲間ではなく、立ちはだかる敵という皮肉な設定が特徴的だ。

ゲームシステム

この作品がリリースされた頃、携帯電話はまだ一般的に普及していない時代でした。そのため、プレイヤーは衛星通信機器を持たずに行動しなければなりません。小暮健太は、仲間と共に校舎内を探索し、得た情報やアイテムを駆使して脱出を試みます。本作は、スリル満点のホラーゲームと脱出ゲームの要素を兼ね備えており、プレイヤーはダンスフロアや教室といった薄暗い場所を進む中で緊張感を味わえます。

途中で仲間が行方不明になることがあり、その際には新たなアイテムが手に入ります。この中には、遺作が誘拐したヒロインに関する映像が含まれていることもあり、プレイヤーはその発見にも挑むことになります。また、手がかりの役割を果たすメモが登場し、初回生産版にはそのための紙製メモも同梱されました。この仕様は、当時のレンタル文化を意識して企画されたものです。

ストーリー

物語の舞台は、夏休み前の8月。小暮健太は、ラブレターを受け取りますが、約束された場所である旧校舎に向かうと、他の数人とも出会います。そこに集まった彼らは、何らかの手違いで校舎に閉じ込められてしまいます。校舎は外部へ連絡できない状態で、彼らは誰が悪戯をしたのかを探し合うことになる。健太たちはこの状況から脱出し、過去の女生徒殺害事件の真相を解明しなければなりません。

主な登場人物

1. 小暮 健太（こぐれ けんた）：主人公で推理小説愛好者。頭が良く勇敢だが、学業は今一つ。悪戯の疑いをかけられつつも仲間を救うため奮闘。
2. 浅川 琴未（あさかわ ことみ）：健太が憧れるお嬢様。幼馴染の宗光とは異なる運命を辿る。
3. 榊 美由紀（さかき みゆき）：美しいクラスメート。妹を殺された過去があり、その復讐を果たそうとする。
4. 赤川 里香（あかがわ りか）：健太に恋心を抱くクラスメート。少々幼い性格。
5. 伊頭 遺作（いとう いさく）：校舎の用務員で、被害者の一人である美由紀妹の殺害容疑者。悪役的な存在として立ち塞がる。

スタッフと発売情報

本作の原画は横田守が担当し、シナリオは蛭田昌人によって執筆された。18禁OVA版も複数リリースされ、アニメーションの制作はアームスが行いました。これらの作品は、原作の人気を受け継ぎ、さらなる発展を遂げました。原作ゲームに続いて小説も出版されており、様々なメディアで展開されています。

影響と評価

『遺作』は、エルフにとって社屋移転前最後の作品としても知られており、そのタイトルには特別な意味が込められていました。当初の広告では一部誤解を招くことになり、その点でも話題となったことが評価されています。ゲーム内容を詳しく伝えない広告スタイルは後の作品にも影響を与え、新たなマーケティング手法として広まりました。

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