遼寧 (空母)

空母「遼寧」について

「遼寧」（りょうねい）は、中国人民解放軍海軍が保有する航空母艦であり、旧ソビエト連邦で起工された艦を基に改造されたものです。艦艇は、当初「ヴァリャーグ」としてソ連海軍のために建造が開始されましたが、ソビエト連邦の崩壊に伴い、その建造は中断されました。その後、中国がウクライナからこの艦を購入し、約7年にわたる改装を経て、2012年9月25日に中国海軍に正式に就役しました。

購入と改装の経緯

「ヴァリャーグ」は1985年に艦籍編入され、1988年に進水したものの、1990年代初頭のソ連崩壊の影響で建造が中断されました。この艦はその後、ウクライナ政府所有となり、未完成の状態で長期間放置されました。1997年、中国は「ヴァリャーグ」の購入を果たし、艦は観光・レジャー船として利用されることが計画されましたが、その後、軍事目的での再生計画が進行しました。回航には多くの困難があり、トルコ政府との交渉が続く中、最終的に2001年に海峡を通過して中国本土へとたどり着きました。

再建造の工程

大連港に到着した後、遼寧は大連船舶重工集団で艤装が進められ始めます。艦には中国型艦上機や運用システムが導入され、2011年には艦の完成式典が行われました。2012年には試験航行が行われ、同年9月25日には正式に海軍に引き渡され、「遼寧」と命名されました。

設計と能力

「遼寧」は、1143.6型重航空巡洋艦としての設計を基本にしながら、艦尾の形状や格納庫の拡張などが行われ、搭載機の数も増加しました。標準的な搭載機数は約36機に設定されており、主にはJ-15艦上戦闘機、哨戒型ヘリコプター、救難ヘリコプターが含まれています。

航空運用においては、スキージャンプを利用したSTOBAR方式が採用され、発艦装置と着艦装置が備えられています。艦は発艦訓練や訓練航海を通じて、運用可能な機体として評価されています。

艦歴と運用状況

遼寧は就役以来、様々な任務を遂行してきました。特に中国大陸沿岸や西太平洋での訓練や作戦行動が強化されており、周囲の国々の海上自衛に警戒感を与えています。最近では、海軍創立記念行事に参加したり、複数の艦載機を運用する訓練を行ったりしており、現代の海上戦力としての役割を確立しています。

まとめ

「遼寧」は旧ソ連の遺産を基にした中国海軍の初の空母であり、その建造から就役に至るまでの複雑な経緯と、中国海軍の強化を象徴しています。今後も中国の海上戦力としての重要な役割を果たし続けることでしょう。

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