STOBAR

STOBAR方式について

STOBAR（ストーバー）は、Short Take Off But Arrested Recoveryの略で、航空母艦における特有の離着艦方法の形式です。この方式は、艦上機の発艦にスキージャンプを用い、着艦にアレスティング・ギアを採用します。STOBAR方式は、カタパルトを基盤とするCATOBAR方式よりも艤装や運用の面で簡易であるという特徴があります。そのため、インド、中華人民共和国、ロシアの三カ国がこの形式の空母を保有しています。

開発の背景

STOBAR方式の開発にはソビエト連邦海軍が厚く関与しています。1977年、黒海沿岸のサーキ飛行場には艦上機の実験施設「ニートカ」が建設され、同施設には八度および十四度のスキージャンプ台が設けられました。このプロジェクトでは、当初、1143型航空巡洋艦（キエフ級）においてカタパルトとアレスティング・ギアを採用し、CATOBAR方式が計画されていました。しかし、政府や軍の上層部の支援を受けて、最終的には「アドミラル・クズネツォフ」がスキージャンプ台を採用し、STOBAR方式が確立されたのです。この方式は、後に中国やインドでも採用され、国産艦の発展にも寄与しました。

特徴と運用

STOBAR方式の主な利点は、開発費用の低減や運用のシンプルさです。CATOBAR方式では航空機の射出に多くの人員が必要ですが、STOBAR方式ではその必要がなく、スキージャンプには可動部品が存在しないため、維持コストもさらに抑えられます。

ただし、STOBARのデメリットとしては、発艦に要する滑走レーンがCATOBARに比べて長くなるため、航空機の運用効率が劣ります。例えば、中国人民解放軍海軍の「福建」空母は、CATOBAR方式を採用しており、迅速な発艦が可能ですが、スキージャンプを用いる従来型の空母では時間がかかることが示されています。実際、「福建」では発艦にかかる時間が5分未満であるのに対し、STOBAR型では約20分を要することが確認されています。

さらに、最大離陸重量にも制約があり、具体的な数値を挙げると、JA-15艦上戦闘機の発艦重量が発艦条件によって変化するため、状況による運用制限が生じることもあります。特に、操縦条件に応じて求められる甲板風速とその陰影響が、離陸する航空機に直接影響を及ぼします。

カタパルトの運用を提案しているゼネラル・アトミックスは、STOBAR方式の空母は所定の甲板風速を維持するために、高速移動が求められる点を指摘しています。これにより、STOBAR方式は、将来的にCATOBAR方式の導入を目指す海軍にとっての過渡的な存在と見なされることが多いです。

結論

STOBAR方式は、特に発艦運用が難しい環境において有効な方法論ではありますが、その短所も無視できません。各国はこの方式を採用することにより、航空母艦の運用や艦上機の積載性能について新たな検討を重ねつつあり、今後の海軍戦略にも影響を与えるといえるでしょう。

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