那波活所

那波活所（なば かっしょ）は、文禄4年（1595年）に生まれ、正保5年1月3日（1648年1月27日）に没した、江戸時代初期の著名な儒学者です。本名を信吉、または方、あるいは觚といい、字は道円、通称は平八でした。

播磨国姫路の豪農の家に生まれた那波活所は、後に京都の銅駝坊に移り住み、藤原惺窩に師事しました。彼は、林羅山、松永尺五、堀杏庵と共に「惺窩門四天王」の一人と称され、その学識の高さと影響力の大きさを知られています。

元和9年（1623年）には、肥後国熊本藩主の加藤忠広に仕えましたが、寛永7年（1630年）に職を辞しました。その後、加藤家が改易となると、寛永12年（1635年）から紀伊国和歌山藩主の徳川頼宣に儒臣として仕えました。彼は京都の銅駝坊の自宅で生涯を終えました。

那波活所は、儒学者としてだけでなく、著述家としても多くの業績を残しました。彼の著作は、当時の学術界に大きな影響を与え、後世の研究者にとっても貴重な資料となっています。

著作

活所遺稿: 那波活所の思想や学問がまとめられた著作。
活所忘備録: 日々の記録や備忘録であり、当時の社会情勢や生活を知る手がかりとなる。
桜譜: 桜の専門書として先駆けであり、桜の品種を詳細に記述した貴重な文献。日本の桜研究における重要な資料。
四書註者考: 四書に関する注釈を考察した研究書。
人君明暗図: 人君のあり方について論じた書物。
古活字版『倭名類聚抄』: 古活字版による『倭名類聚抄』。
* 古活字版『白氏文集』: 古活字版による『白氏文集』。

また、長男の那波木庵、玄孫の那波師曾（魯堂）も学者として名を残し、師曾は『学問源流』などの著作を残しました。さらに後世には、京都大学教授で東洋史学者の那波利貞を輩出するなど、那波家は学者の家系として知られています。

那波活所の学問的遺産は、今日においても高く評価されており、彼の著作は、日本の思想史や文化史を研究する上で欠かせないものとなっています。

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