邵逸夫

邵逸夫（ランラン・ショウ）：香港メディア界の巨星

邵逸夫（ショウ・イップ、英語名：Run Run Shaw）は、1907年に中国で生まれ、2014年に106歳で亡くなった香港の著名な企業家です。彼は、映画製作会社ショウ・ブラザーズと、香港最大のテレビ局TVB（無綫電視）の創業者として知られ、「香港のメディア王」と称されました。彼の生涯は、香港の映画産業とテレビ産業の黄金期を築き、アジアのエンターテイメント界に多大な影響を与えました。

メディア事業の開拓者

邵逸夫は、実業家の家庭に生まれ、幼い頃から映画に触れて育ちました。兄たちが設立した映画会社で俳優やカメラマンとして経験を積んだ後、1926年には兄と共に東南アジアで映画の配給事業を開始しました。1930年代には、映画製作の中心を香港に移し、南洋影片公司（後のショウ・ブラザーズ）を設立しました。

1950年代、邵逸夫は映画製作に本格的に乗り出し、1958年にはショウ・ブラザーズを設立、1960年代には「東洋のハリウッド」と呼ばれる巨大な映画スタジオ「ショウ・スタジオ」を建設しました。ショウ・ブラザーズは、カンフー映画をはじめとする数々のヒット作を制作し、香港映画を世界的なエンターテイメントに押し上げました。1985年までに、約1000本もの映画を製作し、香港映画界にその名を轟かせました。また、日本の特撮技術にも関心を寄せ、日本人技術者を招聘するなど、積極的な国際交流も行いました。

1967年には、香港初の無線テレビ局TVBを設立し、テレビ事業にも参入しました。映画製作で培ったノウハウと豊富な資金力で、TVBは香港の有力メディアへと成長しました。TVBは、数多くの人気俳優を育成し、香港のテレビドラマやバラエティ番組を支えました。しかし、1970年にショウ・ブラザーズの幹部やスターが独立し、ゴールデン・ハーベストを設立したことが契機となり、ショウ・ブラザーズは徐々に勢いを失います。1985年に映画製作を停止しましたが、TVBの経営は続け、2011年にCEOを退任するまで、影響力を維持しました。

慈善家としての側面

邵逸夫は、その生涯を通じて慈善活動にも熱心に取り組みました。彼は、香港だけでなく中国本土の教育や科学技術の発展に多大な貢献をし、100億香港ドル以上（約1300億円）もの寄付を行いました。中国各地には「逸夫楼」という名前の教育施設が数多く建てられ、彼の慈善家としての功績を今に伝えています。

晩年と遺産

1977年にはイギリスのエリザベス女王からサーの称号を授与され、その後は「サー・ランラン・ショウ」として知られるようになりました。2011年にTVBのCEOを退任し、所有していた株式を売却して引退しましたが、2014年に老衰のため106歳で亡くなるまで、その影響力は衰えることはありませんでした。彼の死後、映画界だけでなく、中国や香港、シンガポールの要人が哀悼の意を表しました。

邵逸夫は、香港の映画とテレビ産業の礎を築き、エンターテイメント界に革命をもたらした人物として、その名は歴史に刻まれています。彼の功績は、数々の映画やテレビ番組、そして慈善活動を通じて、これからも多くの人々に語り継がれていくでしょう。

私生活

1932年に最初の妻と結婚し、4人の子供をもうけました。1987年に妻が亡くなった後、長年のパートナーであった方逸華と再婚しました。

主な作品と関連事項

ショウ・ブラザーズ製作の映画：『白夫人の妖恋』、『楊貴妃』など
ショウ賞：科学技術や芸術分野で優れた業績を上げた人物に贈られる賞

邵逸夫は、単なる企業家ではなく、香港の文化とエンターテイメントの発展に大きく貢献した人物として、多くの人々に敬愛されています。

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