郁久閭大檀

郁久閭大檀（いくきゅうりょ たいたん）

郁久閭大檀（? - 429年）は、5世紀前半に活躍した柔然の可汗です。彼は、柔然を強大な勢力に押し上げましたが、一方で北魏との長きにわたる抗争を引き起こし、その後の柔然の衰退の要因を作った人物でもあります。

生涯

大檀は、柔然の有力者である僕渾の子として生まれました。彼は若い頃から別部を率いて柔然の西の国境を守備し、その手腕を発揮していました。414年、大檀は可汗の歩鹿真に対して反乱を企てたとされ、討伐を受けますが、これを撃退し、逆に歩鹿真を殺害して可汗の座を奪います。彼は人心掌握に長けており、国人からの支持も厚かったため、スムーズに可汗に即位することができました。

可汗となった大檀は、積極的に対外侵攻を行います。同年12月には、北魏の国境を侵し、明元帝の親征を受けますが、これを退けます。その後も、北魏との間で小競り合いを繰り返しました。417年には、北燕に貢物を贈り、関係を構築しようと試みました。423年には、再び北魏の国境を侵し、これに対し北魏は長城を築いて対抗しました。同年、北涼の遺民が柔然に臣属すると、大檀は彼らを伊吾王に封じ、勢力拡大を図ります。また、この頃、柔然は烏孫を圧迫し、烏孫は西方へ移動せざるを得なくなりました。西域の悦般国との関係は悪化し、互いに征討し合うようになります。

424年、明元帝の崩御に乗じて、大檀は6万騎を率いて北魏に侵攻し、盛楽宮を攻撃します。太武帝は自ら討伐に乗り出しますが、柔然軍に包囲されるなど苦戦を強いられます。しかし、北魏軍の奮戦により、形勢は逆転し、大檀は撤退を余儀なくされました。425年、太武帝は大軍を率いて柔然を征討し、大檀の部落は北方に逃亡します。427年、大檀は再び北魏に侵攻を試みますが、北魏が夏の赫連昌を討伐すると聞いて撤退します。428年、大檀は息子に騎兵を率いて北魏領内に侵入させますが、北魏に服属していた高車に撃破されます。太武帝が追撃しますが、追いつくことはできませんでした。

429年、太武帝は大檀を討伐する計画を実行に移します。公卿や大臣の反対を押し切り、太武帝は自ら軍を率いて柔然を攻撃します。大檀の弟である匹黎は、長孫翰軍に遭遇し、多くの部下を失います。これを聞いた大檀は恐れをなし、一族を率いて西方へ逃亡しました。柔然の部落は四散し、柔然は一時的に衰退しました。太武帝は柔然領内を深く進軍し、多くの家畜や捕虜を獲得して帰還しました。大檀は、この遠征の後、病に倒れ死去しました。後を継いだのは、彼の息子である呉提でした。

兄弟

郁久閭悦代
郁久閭大那…於陟斤の父
* 郁久閭匹黎

大檀の死後、柔然は徐々に衰退していきます。しかし、彼の時代に築き上げた勢力は、その後も長く中央アジアに影響を与え続けました。

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