郁久閭醜奴

郁久閭醜奴（いくきゅうりょ しゅうど）

郁久閭醜奴（? - 520年）は、6世紀初頭に活躍した柔然の可汗であり、豆羅伏跋豆伐可汗（とうらふくばつとうはつかがん）という称号を持ちました。この称号は「制度を明らかにする可汗」という意味を持ちます。

生涯

508年、父である伏図が高車との戦いで戦死したことを受け、醜奴は可汗の座を継承し、建昌と元号を定めました。しかし、伏図の死後、柔然に服属していた高昌国の王、麴嘉は柔然に背き、高車に臣従するようになりました。

511年9月、醜奴は沙門の洪宣を北魏に派遣し、珠玉の像を献上しました。これは北魏との関係を維持するための外交的な試みでした。

514年10月、北魏の宣武帝は馬義舒を醜奴への使者として派遣しようとしましたが、馬義舒が出発前に亡くなったため、この派遣は中止となりました。

515年2月、柔然は南朝の梁に遣使を送り朝貢しました。同年7月には、俟斤（イルキン：官名）の尉比建を北魏に派遣し、朝貢を行いました。

516年、醜奴は西の高車を征討し、これを打ち破り、高車王の弥俄突を捕らえて殺害しました。これにより、柔然は再び勢力を盛り返しました。またこの頃、柔然は初めて城郭を築き、木末城と名付けました。同年8月には、再び梁に遣使を送り朝献を行いました。

517年12月、柔然は再び俟斤の尉比建と紇奚勿六跋・鞏顧礼らを北魏に派遣し、朝貢を行いました。この際、柔然は北魏と対等の礼で接したため、最初は相手にされませんでしたが、北魏の朝儀で漢と匈奴の故事に倣った結果、初めて返答を得ることができました。

518年2月、北魏の孝明帝が顕陽殿で柔然の鞏顧礼ら20人を招き、中書舎人の徐紇に詔を伝えさせ、「柔然には蕃国の礼が備わっていない」と譴責しました。

519年11月、柔然の莫允部の梁賀俟豆が男女700人を率いて北魏に投降しました。

醜奴は即位当初、巫女の是豆渾地万を聖女と称し、娶って可賀敦（皇后）としました。前夫の屋引副升牟には爵位を授け、多数の家畜を賜りました。是豆渾地万は邪法を使い、容姿も美しかったため、醜奴は彼女を非常に寵愛し、その言葉を信じて国政を混乱させました。そのため、520年、醜奴の母である侯呂陵氏は、莫何去汾（官名）の李具列らに是豆渾地万を絞殺させました。醜奴はこれに怒り、李具列らを処刑しようとしましたが、高車の阿伏至羅が柔然に侵攻してきたため、阿伏至羅を攻撃しました。しかし、柔然軍は敗れて帰還し、醜奴は母と大臣によって殺害されました。

妻子

可賀敦
是豆渾地万
子
祖恵

参考資料

『魏書』（列伝第九十一 蠕蠕）
『北史』（列伝第八十六 蠕蠕）

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