郡 (バングラデシュ)

バングラデシュにおけるウポジラの役割と歴史

バングラデシュの行政区画において、ウポジラ（英語: upazila、ベンガル語: উপজেলা）は特に注目される存在です。ウポジラは、県の下位区分として機能し、西側諸国でいう郡やバラに相当します。さらに、農村地域のウポジラは、ユニオン議会（ユニオン・パリシャド、union parishads）に細分化されており、これにより地域の行政運営がより効率的に行われます。

2022年10月の時点で、バングラデシュには495のウポジラが存在しており、これは同国の行政区画の中で下から二番目の階層にあたります。バングラデシュの行政区は、8つの管区、64の県、495のウポジラ、そしてユニオン議会から構成されています。このような行政的な分権は、かつての中将フセイン・モハンマド・エルシャド大統領の軍事政権の下で導入され、地方政府の役割を強化するための手段とされました。

ウポジラよりも下位には、グラム（村）やパラ（地区）が存在しますが、これらは行政上の権限を持っておらず、選挙で選ばれる代表者も存在しません。1982年には地方政府に関する新たな条例が施行され、旧称のターナーはウポジラへと改名され、より強力な権限を与えられました。

ウポジラの歴史

ウポジラという名前は、元々ターナーと呼ばれていましたが、この名称は直訳すると「警察署」を意味します。にもかかわらず、ターナーは地域の行政区画として機能しており、これが後のウポジラとつながっていきます。1982年にターナーからウポジラに改名された際には、自治体としての性質が強調され、地方政府の一形態として位置づけられました。しかし、1992年には再びターナーに戻され、その後1999年には地理的な区域を指す名称としてウポジラが用いられるようになりました。これにより、ターナーに関する行政用語も全てウポジラに変更されました。現在、「ターナー」という言葉は主に「警察署」を指す言葉として理解されています。

それぞれのウポジラには通常1つの警察署がありますが、大規模な行政区画となる場合には複数の警察署が設けられることがあります。2021年には、内閣官房長官がいくつかのウポジラの名称を変更し、新たなウポジラの創設を発表しました。

行政体制

ウポジラにおける行政は、執行役員と呼ばれる行政官によって支えられています。これらの執行役員は選挙で選出されるわけではなく、バングラデシュの国家公務員の一員として任命されます。彼らは高位の行政官として、地方の行政を行います。

また、各ウポジラにはウポジラ・パリシャッドという議会も存在し、議長、副議長、女性副議長が設けられています。これらの役職は直接選挙で選出され、ユニオン議会の議長たちが議会の構成メンバーとみなされます。特に女性副議長職は、地方政府における女性の代表性を高めるために設置されています。2010年には18年ぶりにウポジラの議会選挙が行われ、地域の政治に変革をもたらす機会となりました。

バングラデシュにおいてウポジラは、その独自の行政機能を持ちながら、地域のニーズに応じた政策を実施し、住民の生活を支える重要な役割を果たしています。

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