郡 (ポーランド)

ポーランドにおける行政区画の一つである「ポヴィャト（powiat）」は、日本語で郡と訳されることが多いです。ポーランドの行政制度は三層構造で、上位から順に「ヴォイェヴツトフォ（województwo、県）」、「ポヴィャト（powiat、郡）」、「グミナ（gmina、市町村または自治体）」となっています。

全国には合計で380のポヴィャトが存在し、その内訳は314の通常の郡と、66の「郡と同格の都市（miasto na prawach powiatu）」です。この「郡と同格の都市」は、行政上、郡と同じ権限を持つ都市であり、郡と市町村の中間の役割を担っています。

歴史

ポヴィャトの制度は、その歴史の中で何度か変遷を経験しています。

初期のポヴィャト: 14世紀末頃には、地方裁判所の管轄地域を基に行政区画としてポヴィャトが設けられました。この制度は、1795年まで用いられていました。
ポーランド分割時代: 18世紀末のポーランド分割によって、ポーランドの領土は周辺の列強諸国によって分割統治されることになりました。この時代、ロシア帝国の影響下にあったポーランド立憲王国では、ロシア語の「ウイェズド（uyezd）」が、ウクライナ語では「ポヴィト（povit）」が、そしてドイツの影響下にあったポズナン大公国では、ドイツ語の「クライス（Kreis）」が、それぞれポヴィャトに相当する行政区画として用いられました。
復活と廃止: 1918年にポーランドが独立を回復した後、ポヴィャトは第二層の行政区画として復活しましたが、1975年に一度廃止されました。
再導入: その後、1999年1月1日に、再びポヴィャト制度が導入され、現在に至っています。

行政の役割

ポヴィャトは、県と市町村の中間に位置し、地域における様々な行政サービスを提供しています。具体的には、以下のような役割を担っています。

地域インフラの整備: 道路、橋、公共交通機関などの地域インフラの整備・維持管理を行います。
教育: 中等教育機関の運営や管理を行います。
医療: 地域における医療サービスの提供や公衆衛生に関する業務を行います。
社会福祉: 高齢者や障害者、貧困者などへの社会福祉サービスの提供を行います。
環境保護: 地域における環境保護に関する業務を行います。
防災: 災害発生時の対策や救助活動を行います。
その他: 地域の文化振興、観光促進、雇用促進など、様々な地域振興に関する業務を行います。

現代のポヴィャト

現代のポヴィャトは、地域のニーズに応じた多様なサービスを提供することで、住民の生活を支える重要な役割を担っています。地方分権の進展とともに、ポヴィャトの役割はますます重要になってきています。

参考文献

ポーランドの地方行政区画
ポーランドの地方自治

関連項目

ポーランドの地方行政区画
* ポーランドの地方自治

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