郡司正勝

郡司正勝の生涯と業績

郡司正勝（ぐんじ まさかつ、1913年7月7日 - 1998年4月15日）は、北海道札幌市に生まれた日本の歌舞伎研究者、演劇評論家、国文学者であり、早稲田大学の名誉教授としても知られています。彼の学問は日本の伝統芸能、特に歌舞伎に焦点を当て、その研究や批評を通じて、多くの業績を残しました。

経歴

郡司は1941年に早稲田大学文学部国文科を卒業し、大学在学中には歌舞伎の著名な研究者である河竹繁俊に学びました。卒業後、早稲田大学演劇博物館の学芸員としてキャリアをスタートさせ、その後、講師や教授として長年にわたり後進の指導にあたりました。1960年から1984年まで教授職にあり、彼の教学と研究は多くの学生に影響を与えました。

研究内容・業績

郡司正勝の研究は、歌舞伎の民俗学的な側面やその芸態の精神構造に新しい視点を提供するものとして評価されます。1954年に発表した著書『かぶき・様式と伝承』は、芸術選奨文部大臣賞を受賞し、彼の名前を広めるきっかけとなりました。この著書では、歌舞伎の伝統とその美学について深く考察し、従来の枠を超えた視点から研究するスタイルを確立しました。

また、郡司は歌舞伎に関する多くの著作を残し、特に『かぶきの美学』や『おどりの美学』などの著作は、歌舞伎だけでなく、現代舞踏や演劇に対する彼の幅広い知見を示しています。加えて、彼は古典的な演目の復活や新しい演出にも力を注ぎ、1963年からは四世鶴屋南北の作品『桜姫東文章』の復活上演に寄与しました。またその活動として、多くの劇評も手掛け、現代演劇や舞踏に対する見解を発信しました。

郡司の著作は、『郡司正勝柵定集』という全6巻の叢書にまとめられています。また、彼の故郷である札幌の札幌大学には「郡司文庫」として彼の蔵書が保存され、後世に向けての文化伝承の場ともなっています。

著作

郡司正勝の著書は非常に多岐に渡ります。代表的な単著としては、1954年の『歌舞伎入門』や、『かぶきの発想』『かぶきの美学』があり、他にも『歌舞伎と吉原』や『古典芸能 鉛と水銀』など、歌舞伎や日本の伝統芸能に関する幅広いテーマを扱っています。彼の著作は、多くが復刻版や改訂版として現代にも読み継がれ、今なお重要な学術的資料となっています。

まとめ

郡司正勝は、そのまなざしを歌舞伎という日本の伝統文化に注ぎ込み、多様な研究や著作を通じて深く貢献した学者です。彼の業績は、今でも多くの研究者や愛好者に感謝され、彼の名前は日本の演劇史に刻まれています。日本の芸能を支える基盤を築いた彼の功績は、時代を超えて評価されることでしょう。

もう一度検索