郭皇后 (宋仁宗)

郭皇后：北宋仁宗の最初の皇后、その波乱の生涯

郭皇后は、北宋の第4代皇帝、仁宗の最初の皇后です。応州金城県出身で、天聖2年（1024年）に立后されました。

冷遇された皇后時代

しかし、仁宗はもっぱら張氏という女性を寵愛し、郭皇后が仁宗に謁見できる機会は稀でした。仁宗は張氏を皇后に立てたいと望んでいましたが、母である劉皇太后が反対したため、実現しませんでした。張氏は美人の位のまま亡くなりました。

明道2年（1033年）3月、劉皇太后が崩御した後、仁宗は初めて自身の生母が李宸妃であったことを知り、深く悲しみました。

その後、尚美人と楊美人が新たに寵愛を受けるようになると、郭皇后はたびたび嫉妬にかられ、怒りを露わにしました。ある時、尚美人が仁宗の前で皇后の言葉を遮るという無礼を働いたため、郭皇后は怒って尚美人の頬を叩こうとしました。しかし、止めに入った仁宗の顔を誤って叩いてしまい、さらに皇后の爪が仁宗の頬を傷つけてしまったのです。

廃后への転落

激怒した仁宗は、閻文応や呂夷簡に顔の傷を見せ、郭皇后の廃后を相談しました。呂夷簡は以前、皇后によって職務を罷免されたことを恨んでおり、「過去にも廃后の例はあります」と進言したため、仁宗は廃后を決意します。同年12月（1034年1月）、郭皇后は廃后とされました。

中丞の孔道輔、諫官御史の范仲淹や段少連ら10人の臣下が「皇后に過ちはありません、廃してはなりません」と訴えましたが、聞き入れられず、彼らは罰せられました。

廃后となった郭氏は出家させられ、「浄妃」「玉京沖妙仙師」の称号と「清悟」という道名を下賜された上で、長楽宮に移り住むことになりました。景祐元年（1034年）8月には、瑤華宮に移され、「金庭教主」「沖静元師」といった称号を賜りました。一方、騒動の原因となった尚美人も廃されて洞真宮で道姑として出家し、楊美人も別宅に置かれることとなりました。

翌月、曹氏が新たに皇后として冊立されました。

悲劇的な最期

翌年、仁宗は曹皇后との夫婦仲がうまくいかず、郭妃のことを深く想うようになりました。そこで、見舞いの使者を遣わしたところ、郭妃の返答が非常に沈痛であったため、仁宗は彼女を憐れみ、密かに呼び出そうとしました。しかし、郭妃は「もし、再びお召しを賜るのなら、百官の立つ中で（皇后に）冊立する場であって下さい」と言ったと伝えられています。

やがて、郭妃が軽い病を患ったため、仁宗は閻文応を使者に立て、典医を派遣しましたが、数日後（11月8日、西暦で12月10日）に郭妃は急死しました。宮中でも巷間でも、閻文応が毒を盛ったのではないかと疑われましたが、真相は明らかになりませんでした。

仁宗は郭氏の死を深く悼み、皇后の位に復させましたが、諡を贈ることと宗廟に祀ることは見送られました。

郭皇后の生涯は、皇帝の寵愛争いに翻弄され、悲劇的な結末を迎えた女性の物語として、後世に語り継がれています。

関連項目

* 慶暦の党議

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