郭茂林

郭茂林（かく もりん）: 台湾生まれの建築家

郭茂林は1920年7月27日に台湾の台北市で生まれ、2012年4月7日に急性腎不全により亡くなった建築家として知られています。彼は日本に帰化し、その後日本の建築界で重要な役割を果たしました。郭は日本初の高層ビルである霞が関ビルディングの設計に関与し、全国各地の超高層ビルや都市計画にも携わりました。また、彼の生涯と業績をテーマにしたドキュメンタリー映画「巨塔の男 - 郭茂林」が2012年に制作されたことでも、その存在は広く知られています。

来歴の概要

郭は日本統治下の台湾で育ち、日本式の教育を受けました。1940年には台北州立台北工業学校を卒業し、成績優秀だったため日本本土の東京帝国大学の工学部に招かれました。そこでは建築の研究に従事し、戦後に日本国籍を取得し、より一層のキャリアを築いていきました。

1968年には霞が関ビルの完成に向けて、KMG（郭茂林グループ）の企画室室長として多くの関係者を統率しました。このビル建設において、彼は三井不動産や鹿島建設、日本建築学会とのコーディネーターとしての役割を果たしました。

その後も新宿副都心の超高層ビル群の構想や、浜松町の世界貿易センタービルディング、池袋のサンシャインシティなどの設計に携わり、地下工法や鉄骨組などの技術を台湾にも普及させました。

業績と受賞

2007年には華光奨を受賞した郭は、彼の仕事の影響が台湾に及んでいることを示しています。2012年には台湾政府から総統褒揚令を受け、生前の功績が認められました。彼の生涯は、台湾と日本の建築界に多大なる影響を与えたものとして評価されています。

著作活動

郭茂林は1972年に『超高層建築設計例』を出版し、建築の知識を広める努力をしました。彼の著作や論文は、日本建築学会の報告にも多く掲載されており、建築計画や設計に関する彼の考え方を知るための貴重な資料となっています。特に、彼が1940年代から1970年代にかけて執筆した記事は、日本の建築界の発展に不可欠なものとなっています。

作品とプロジェクト

彼が手がけた作品は日本国内に留まらず、台湾にも広がっています。日本においては成蹊中学校校舎や三井記念病院、新お茶の水ビルディングなどがあります。台湾においても、彼の設計した台泥大楼や台北駐日経済文化代表処など、多くの重要な建物が存在します。

最後に

郭茂林の人生とキャリアは、単なる建築家としての評価を超えて、日台の文化交流の象徴とも言えます。彼の業績は現在も日本と台湾の建築界に影響を与え続けており、彼の名前は歴史に刻まれています。彼の人生は、建築に対する情熱や理念を示しており、多くの人々にインスピレーションを与える存在でした。

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