郵船ビルディング

郵船ビルディングの歴史

郵船ビルディングは、東京都千代田区丸の内二丁目に位置し、日本郵船の本社が入居する建築物です。この建物は、初代と2代目の二つのビルがあり、それぞれの時代背景と特徴を持っています。

初代郵船ビルディング (1923年竣工)

初代郵船ビルディングは、日本郵船が新社屋として計画しました。1917年10月、日本郵船は三菱合資会社から1,410.45坪の敷地を賃借し、建設に着手しました。当時としては非常に大規模な建築物であり、その姿は絵葉書にも使用されるほどでした。

設計は曽禰中條建築事務所が担当し、施工はアメリカのフラー社に依頼されました。パリ講和会議で日本政府代表委員の一人であった当時の日本郵船社長、近藤廉平がニューヨークでフラー社の社長と会見し、契約が締結されました。その後、フラー社と三菱合資会社による合弁会社、フラー建築株式会社が施工を担当しました。

1920年11月に工事が開始され、1922年4月26日には神奈川県東部地震による被害を受けましたが、1923年5月26日に竣工しました。この契約は実費清算報酬加算方式で、フラー建築の工事手数料は15パーセントでした。

竣工直後の1923年9月1日には関東大震災が発生し、一部外壁が破損するなどの被害を受けました。さらに、1945年9月には連合国軍最高司令官総司令部によって接収され、極東空軍尉官宿舎として利用されました。1956年1月に接収が解除され、再び日本郵船本社として使用されましたが、建て替えのため1976年3月に取り壊されました。

2代目郵船ビルディング (1978年竣工)

2代目郵船ビルディングは、日本郵船の新本社屋として1978年2月に竣工しました。建設にあたり、1975年6月に日本郵船と三菱地所がそれぞれ50パーセント出資して和田倉建物株式会社を設立し、この会社が建築主となりました。竣工後の1979年9月には、三菱地所が保有していた和田倉建物株式会社の全株式が日本郵船に譲渡されました。

建て替え期間中、日本郵船および郵船ビルのテナントは一時的に三田国際ビルに移転しました。また、1979年9月には敷地が三菱地所から日本郵船に売却されました。

2012年7月まで、東京中央郵便局の建て替えに伴い、ゆうちょ銀行本店が一時的に入居していました。

屋上にはTBSテレビの情報カメラが設置されており、「皇居前（お天気）カメラ」として、皇居前広場越しの都心の風景を中継しています。場合によっては、国会議事堂やTBS放送センターの映像も中継されることがあります。

建て替え計画

2023年7月11日、日本郵船は郵船ビルディングの建て替えを発表しました。2030年代前半の竣工を目指しており、建て替え期間中は神奈川県横浜市中区に建設される「横浜タワー棟」（2026年竣工予定）に本社機能を移転する予定です。この横浜タワー棟は、三菱地所、鹿島建設と共同で設立した特定目的会社を通じて建設されます。

参考文献

* 三菱地所株式会社社史編纂室編 『丸の内百年のあゆみ 三菱地所社史』 三菱地所株式会社、平成5年（1993年）。

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