郷勇

郷勇について

郷勇（きょうゆう）は、清代において臨時に編成された地方の武装補助部隊を指し、義勇軍としても知られています。彼らは主に地方の有力者や村の指導者が自発的に結成した組織であり、地域を守るために活動しました。このような武装集団は「勇営」と呼ばれ、各地で大隊を形成しました。

郷勇の起源

郷勇のルーツは、清代初期にさかのぼります。特に、雍正8年（1730年）にオルタイによる雲南省の烏蒙の反乱を鎮圧する過程で、一時的に召募された「郷兵」がその前身とされています。この時、郷兵は反乱を一旦沈めるために編成されましたが、すぐに解散させられ、常設の軍隊とはならなかったのです。

その後、嘉慶年間には白蓮教徒の乱が発生し、再び郷勇が召募されました。この乱の際には、地方の有力者たちが自衛のために彼らを組織し、武装集団を作ることで地域の治安維持に貢献しました。これにより、郷勇の中核をいなす有力な兵員が集まることとなりました。

重要な発展

咸豊2年（1852年）、曽国藩が創設した湘勇が、郷勇の中でも特に有名です。この湘勇は後に湘軍へと成長し、太平天国の乱において重要な役割を果たしました。また、咸豊11年（1861年）には李鴻章が別の郷勇を組織し、これが後に淮軍として知られるようになりました。湘軍と淮軍は、いずれも太平天国の乱や捻軍の反乱を鎮圧する上で主力として機能しました。これにより、清末には郷勇が正式に陸軍に組み入れられることとなったのです。

中華民国期の郷勇

中華民国が成立すると、政権が軍閥に分かれ、治安が不安定になりました。この時、土匪の活動も活発化し、地方の有力者たちは再び自衛のための武装組織を持つ必要性が増しました。そこで彼らは郷勇的な地方武装組織を形成し、地域の安全を維持する手段としました。このような背景の中で、郷勇は再評価され、地域の防衛に貢献しました。

結論

郷勇は清代の歴史において、地域の安全保障を担った重要な存在でした。彼らの活動は、地域独自の防衛システムを形成し、国内の様々な動乱に対して強力に立ち向かう役割を果たしました。また、郷勇の発展は、後の軍事組織にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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