都ぞ弥生

都ぞ弥生の魅力とその背景

「都ぞ弥生」は、北海道大学の恵迪寮における寮歌の一つです。この歌は1912年に作られ、恵迪寮が設立された当初からの伝統を受け継いでいます。恵迪寮自体は、北海道大学の前身である東北帝国大学農科大学の予科生が住む寄宿舎として存在しており、そこから独自の文化を育んでいきました。

歴史の中の寮歌

恵迪寮では、1907年から寮歌が作られ始めており、「都ぞ弥生」はその第6弾として位置づけられています。作曲は当時3年生の赤木顕次、作詞は2年生の横山芳介によって行われました。特に横山芳介の作により、都ぞ弥生は歌詞の美しさが際立っています。この歌は「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選ばれ、地域の文化財としての価値も認められているのです。

歌詞の魅力と意義

歌詞の内容は自然の美しさを讃えたもので、多彩な表現が用いられています。歌の冒頭で「都」という言葉が使われていますが、これは現代の札幌を指すものではありません。当時の札幌は今ほど発展しておらず、実際には東京の春の桜を思い描いているとされます。歌の中では、春の色彩の移ろいから始まり、秋の収穫期、厳しい冬、そして再び春へと季節の変化が描写されています。

歌は全5番から成り立っていますが、多くの場合1・2番または1・2・5番のみが歌われることが一般的です。また、寮生や応援団による演奏デモは、合唱団によるものとはリズムが異なり、ゆったりとしたテンポで歌われることが多いです。これは、春の花見会などのイベントで、参加者が歌いながら会場に向かう際に生まれた風習とも言われています。

歌碑とその普及

「都ぞ弥生」とその歌碑は、北海道大学構内と静岡市の２箇所に設置されています。前者は1957年に設立され、地域の文化的な慣習としても評価されています。静岡市の歌碑は、作詞者の横山芳介が自身の菩提寺に建てられました。

日本三大寮歌の一つ

「都ぞ弥生」は、日本三大寮歌の一つとしても知られています。他の二つは、旧制第一高等学校の「嗚呼玉杯」と旧制第三高等学校の「逍遥の歌」です。このため、寮歌の中でも特に高く評価されている楽曲の一つといえるでしょう。また札幌駅にあるトイレの窓に歌詞が掲示されており、訪れる人々が眺めながら歌を楽しむことができる演出もされています。

文化作品への登場

「都ぞ弥生」は、さまざまな文化作品にも登場しています。例えば、映画『ゴジラの逆襲』やアニメ映画『となりのトトロ』などで取り上げられており、学生生活を描いた『七帝柔道記』といった作品でも歌われています。これらの作品は、学生たちの青春や努力を象徴する存在としても親しまれています。

現在の音楽文化における状況

現在でも「都ぞ弥生」は北海道大学のキャンパス内でオルゴールメロディとして流れ、学生たちの交流や絆の象徴として愛されています。2013年には誕生100周年を記念して、ドキュメンタリードラマが制作されるなど、今もなおその魅力は尽きることがありません。自然を描いた美しい歌詞と、学生生活の一部としての役割を持つ「都ぞ弥生」は、北海道大学における重要な文化財としてこれからも受け継がれていくことでしょう。

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