都城秋穂

都城 秋穂（1902-2008）

都城秋穂（みやしろ あきほ）は、日本の著名な地質学者であり、特に岩石学およびプレートテクトニクスの分野での功績が評価されています。彼は1943年に東京帝国大学を卒業し、その後東京大学、コロンビア大学、ニューヨーク州立大学で教授職を歴任しました。1953年には、東京大学から理学博士の学位を取得し、著作として『変成作用に対する関係からみた非石灰質ざくろ石』を発表しました。

都城は、坪井誠太郎のもとで顕微鏡岩石学を学び、物理および化学的手法を用いて天然岩石の成因を探求しました。日本における主な業績には、変成岩岩石学の枠組みを平衡熱力学の観点から体系化したことや、対の変成帯の概念を提唱したことがあります。これらの研究は欧米からの理論を超えて独自に発展したものであり、高く評価されています。

しかし、1950年代から1960年代にかけて、日本の地質学界では主流の地学団体研究会が歴史法則を重視するマルクス主義的な立場を取っており、物理・化学的手法を批判していました。このような状況の中、都城は1967年に日本を離れ、アメリカに拠点を移しました。アメリカではプレートテクトニクスの研究が盛んであり、彼はこの分野での専門家としての能力を活かし、海洋底の岩石についても研究を行いました。

彼は中央海嶺における岩石構造モデルの構築や、マグマの体系的な分類を行うなど、重要な成果を挙げました。また、プレートテクトニクスの最新動向を日本に紹介し、学界の後進性に対する批判を展開しました。このため、彼の著書には焚書運動が起こるなど、当時の地質学界との対立が生じました。

都城はその後もオフィオライトの成因論や造山運動論に関する研究を続け、国際的な地質学会から名誉会員に推挙されるなど、正当な評価を受けました。しかし、彼の日本における評価は長い間低いままでした。近年、地学団体研究会の衰退と新たな世代の研究者の登場により、ようやく彼の業績が見直され、2002年には日本学士院賞を受賞しました。

執筆活動も活発で、科学論や科学哲学に関する著作を多数残し、地球科学の普及にも貢献しました。彼の著書『岩石顕微鏡』『変成岩と変成帯』などは広く知られています。2008年、彼はスピリットな旅行中に不幸にも事故により命を落としましたが、その業績は今なお多くの学者によって評価されています。彼の生涯を振り返ると、地質学の革新者としての姿が浮かび上がります。

受賞歴

• - 1977年: アーサー・L・デイ・メダル（アメリカ地質学会）
• - 2002年: 日本学士院賞

主な著書

• - 『岩石顕微鏡　偏光顕微鏡による鉱物・岩石・結晶体の研究法』
• - 『岩石・鉱物の熱力学』
• - 『変成岩と変成帯』
• - 『変成作用』
• - 『科学革命とは何か』
• - 『「地質学の巨人」都城秋穂の生涯』

翻訳書

• - ヴェーゲナー『大陸と海洋の起源　大陸移動説』

彼の地質学における貢献と研究は、今後の世代にとっても貴重な資産であり続けるでしょう。

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