都市型水害

都市型水害について

都市型水害とは、主に大都市において見られる特有の水害を指します。近年、日本をはじめとして世界中の大都市でこの種の水害の発生が増加している傾向があります。特に、都市部の過密なインフラや舗装された地表が、雨水の自然な浸透を妨げる要因となっています。

都市型水害の要因

都市部の地面はアスファルトやコンクリートで覆われているため、降った雨水が地中に浸透することなく、速やかに下水道や雨水管を通って河川や海へ排水されます。しかし、集中豪雨などで排水システムの能力を超える量の雨が降った場合や、河川の水位が高まっているときには、下水管や雨水管からの排出が追いつかず、内水氾濫が発生する可能性があります。

特に、都市部で下水道や雨水管の整備が遅れている場合、最近の豪雨に対する排水能が不十分なため、氾濫を引き起こす要因となっています。また、急激な降雨が河川に一気に流入することで河川水位が急激に上昇し、外水氾濫を引き起こすこともあります。さらにまれではありますが、水道管が破裂した場合にも水害が発生することがあります。

都市型水害による被害

特に東京や大阪などの大都市では、地下鉄や地下街といった地下構造物が多く存在しています。地上部分が冠水すると、これらの地下空間に一気に水が流れ込み、被害が拡大することがよくあります。地下室なども出入り口や換気口から浸水する可能性があるため注意が必要です。また、押し戸などの扉は水圧によって開かなくなることもあり、大雨の際は地下に行くことを避けるべきです。

さらに、電気系統の機器が浸水すると、漏電や短絡による停電が発生することもあります。過去には、変電所が浸水し、その結果大規模な停電が発生した事例も存在します。これに加えて、冠水によって防火シャッター等が誤作動する恐れもあります。

下水道においては、トイレや浴室が地下にある場合、逆流が問題となる場合もあります。冠水したマンホールの蓋が浮上し、流出することがあるため、その危険性も増します。一度に大量の水が下水管に流入すると、その圧力でマンホールの蓋が吹き飛ぶこともあり、これが生活排水や汚水が地上に噴出する原因にもなります。このため、衛生面でも大きな問題が生じます。さらに、人が側溝にはまって流され、死亡するケースも多く報告されています。

都市型水害への対策

都市型水害を軽減するための対策としては、透水性アスファルトなどを用いた舗装が考えられます。これにより雨水がある程度地中に浸透することが可能となります。また、調整池や浸透ます、貯留槽、そして緑地などの浸透貯留施設の設置も有効です。

また、各家庭においては防潮板や土嚢を用意しておくことで、小規模の洪水に対しても一定の効果が期待できます。ただし、堤防の決壊などの大規模な災害には無力です。そのため、住民自身が自治体によって作成されたハザードマップを確認することが重要です。

降雨が激しくなる時期には、なるべく外出を控えることが望ましいです。避難の際には、側溝やマンホールの蓋が浮上している恐れがあるため、杖や棒を使って足元を探りながら歩くことが推奨されます。また、気象庁が発表する降水ナウキャスト情報をこまめにチェックし、危険を回避するよう心がけることが大切です。

もう一度検索