都市防空戦闘機

都市防空戦闘機

都市防空戦闘機は、大日本帝国陸軍が1927年に計画した戦闘機です。この機体は、特に都市の防空を目的として設計されましたが、実際の製造には至らず、計画は基礎設計の段階で終了しました。石川島飛行機がこのプロジェクトの設計を担当しましたが、他の企業と競争に参加していました。

背景

陸軍は1927年の初めに、次期主力戦闘機を求めて三菱航空機、中島飛行機、川崎造船所飛行機部、石川島の4社に対し、試作の内示を行いました。この時、特に「都市の防空用」という要求が出され、各社はそれに応じた機体を設計することとなります。石川島では、吉原四郎技師が主務となり、グスタフ・ラハマン博士の指導を受けながら4月から本格的な設計作業が行われました。

計画の進展と中止

設計の進行に伴い、陸軍は同年11月に製作予定の機体に対する図面書類の審査を行い、その結果、石川島の都市防空戦闘機の製造取り止めを決定しました。このため、都市防空戦闘機は基礎設計のまま終わりを告げることとなります。最終的には、他社が提出した機体が制式採用され、代表的な九一式戦闘機となりました。

機体の設計

石川島の計画では、都市防空戦闘機は500 hp級のエンジン1基を搭載し、一葉半方式の主翼を持つ複葉機として設計されていました。この設計によって、都市の防空を効果的に行うための性能が考慮されていたのです。ですが、計画中止により実際の機体として空を舞うことはありませんでした。

参考文献

• - 秋本実『日本陸軍試作機大鑑』酣燈社、2008年、42頁。
• - 野沢正『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』出版協同社、1980年、42頁。

関連項目

• - 甲式四型戦闘機: 本機の代替として考えられた機体。
• - 隼型試作戦闘機: 三菱による試作戦闘機。
• - KDA-3: 川崎が試作した機体。

都市防空戦闘機は、技術者や設計者の努力を示す一例でありながら、実際に飛ぶことなく歴史の中に名を刻むこととなりました。

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