都賀村 (千葉県)

都賀村（つがむら）

都賀村は、かつて千葉県千葉郡に存在した村です。1889年（明治22年）に周辺の10の村が合併して誕生しましたが、1937年（昭和12年）に千葉市に編入され、その歴史を閉じました。本記事では、都賀村の成立から消滅までの歴史、地理的な特徴、産業、教育、そして現在に残る名残について詳しく解説します。

歴史

村の誕生

1889年（明治22年）4月1日、町村制の施行に伴い、以下の10の村が合併し、都賀村が誕生しました。

西寺山村（にしでらやまむら）
萩台村（はぎだいむら）
園生村（そのうむら）
高品村（たかしなむら）
原村（はらむら）
東寺山村（ひがしでらやまむら）
宮野木村（みやのぎむら）
殿台村（とのだむら）
小中台村（こなかだむら）
作草部村（さくさべむら）

この合併は、10の村が力を合わせ、新たな村として発展していくという願いを込めて、「十」と「賀」を組み合わせ、「都賀」と名付けられました。

当初、村役場は萩台（現在の千葉市稲毛区）に置かれましたが、後に作草部へと移転しました。

教育機関の統合と変遷

1912年（明治45年）には、村内にあった2つの尋常小学校、殿台尋常小学校と三和尋常小学校が統合され、都賀尋常小学校が誕生しました。この小学校は、現在の千葉市立都賀小学校の前身となります。

千葉市への編入とその後

1937年（昭和12年）2月11日、都賀村は近隣の蘇我町、都村、検見川町とともに千葉市へ編入され、その歴史に幕を閉じました。旧村域は千葉市の大字となりましたが、1938年（昭和13年）には大字が廃止され、旧村域の10の大字は町となりました。また、大字西寺山は源町と改称されました。

第二次世界大戦中の1945年（昭和20年）7月6日には、千葉空襲により都賀出張所が焼失するという被害を受けました。

1992年（平成4年）4月1日、千葉市が政令指定都市に移行したことで、旧都賀村の領域は、稲毛区、若葉区、花見川区、一部が中央区に分割されました。

地理

都賀村は、現在の千葉市稲毛区から若葉区にかけての広大な地域にまたがっていました。村の中心部は、現在の稲毛区作草部および作草部町に位置し、村役場もここに置かれていました。

現在、「都賀地区」と呼ばれるのは、若葉区のJR総武本線と千葉都市モノレールの都賀駅周辺を指しますが、この駅名は、都賀信号所が設置された当時、所在地が都賀村に属していたことに由来します。ただし、都賀駅は旧都賀村の東北端に位置しており、村の中心部からは離れていました。

経済

産業

都賀村の主な産業は農業でした。『大日本篤農家名鑑』には、都賀村の篤農家として、岩佐要蔵、石橋要治、海寶亀多、黒子清太郎、豊田康之允、萩原顕之允、豊田光太郎などの名前が挙げられています。また、農業を営む人物として、石橋善左衛門、石橋與吉などが記録されています。

教育

都賀村には、以下の教育機関がありました。

村立都賀尋常高等小学校（現在の千葉市立都賀小学校）
第一分教場（旧・三和尋常小学校、現在の千葉市立園生小学校）
第二分教場→東寺山分校（昭和37年に閉鎖）

名残

都賀村の名残は、現在も様々な形で残っています。

村の中心地であった作草部町には、千葉市立都賀中学校と千葉市立都賀小学校があります。
若葉区源町（旧・都賀村西寺山）には、「西寺山」というバス停があります。
JR都賀駅周辺には、都賀、西都賀、都賀の台という地名が残っています。

行政

郡会議員

都賀村からは、4年ごとに郡会議員が選出されていました。定員は1人です。

湯浅浅右衛門（明治32年）
石橋善三郎（明治36年）
松本善太郎（明治40年）
宍倉清蔵（明治44年）
湯浅覚蔵（大正4年）
湯浅宣蔵（大正8年）

歴代村長

都賀村の歴代村長は以下の通りです。

石橋善三郎（初代村長、千葉郡会議員）
湯浅浅右衛門（二代目村長、千葉郡会議員）
萩原顕之亟（三代目村長）
湯浅覚蔵（四代目村長、千葉郡会議員）
石橋庸治（五代目村長）
笠原正亮（六代目村長）
黒子清太郎（七代目村長）

まとめ

都賀村は、短い歴史の中で、多くの変遷を経験しました。しかし、その名残は現在も地名や学校、バス停などに残り、その歴史を伝えています。この地域を訪れる際には、都賀村の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

参考文献

大日本篤農家名鑑編纂所編『大日本篤農家名鑑』大日本篤農家名鑑編纂所、1910年。
千葉県千葉郡教育会編『千葉県千葉郡誌』千葉県千葉郡教育会、1926年。
松田卯太郎編『千葉県紳士名鑑』江東出版協会、1926年。
千葉市誌編纂委員会編『千葉市誌』千葉市、1953年。

関連項目

千葉県の廃止市町村一覧
陸軍歩兵学校
都賀駅

外部リンク

* 稲毛区の町丁

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