都道府県営ダム

都道府県営ダムについて

都道府県営ダムは、地方自治体である都道府県によって建設および管理される多目的なダムです。これらのダムは、水資源の管理や灌漑、発電など多様な目的に利用されています。通常、一級水系及び二級水系の川にて建設されることが多く、中でも一級水系の本川に設置されるケースが目立ちます。ダムの運営は、主に土木部門に属する自治体の担当課によって行われる一方、水道や灌漑専用のダムに関しては企業局や企業庁が手掛けることもあります。

また、ダム周辺は公園として整備されることが多く、県立自然公園やスポーツ施設、さらにはマラソン大会などのレクリェーションも行われ、観光地としての側面も持ち合わせています。これにより、地域の経済活性化や水資源の重要性についての広報活動が行われています。

沿革

都道府県営ダムの起源は、「河水統制計画」にさかのぼります。この計画は内務省土木試験所長である物部長穂が提案したもので、日本初の計画されたダムである沖浦ダムや、日本初の完成ダムである向道ダムも都道府県管理のもとで建設されました。1950年以降、国土総合開発法が施行され、国の支援を受ける形で地方自治体による河川総合開発事業が推進されるようになりました。

GHQによって提供された資金が、各自治体に分配されることで、ダム建設が加速したのです。1957年に「特定多目的ダム法」が施行されて以降、都道府県営ダムは「補助多目的ダム」として国庫補助を受けられるようになりました。1972年からは「補助治水ダム」制度が設立され、洪水管理を目的とした治水ダムにも国の補助が適用されるようになりました。

ただし、ダム事業の進展の裏には、公共事業に対する見直しが行われ、財政的な理由から地方自治体で大規模なプロジェクトが縮小される事例も多発しました。特に1990年代には、各地で多目的ダムの建設中止や凍結が連続して発表され、公共事業への厳しい視点が再認識される契機ともなりました。長野県の田中康夫元知事の「脱ダム宣言」も、その象徴的な事例の一つです。

ダム事業の見直し

田中康夫氏による脱ダム宣言後、全国的にダム事業の見直しが求められるようになり、多くの自治体がダムの凍結を決定しました。しかし、その後発生した豪雨や水害により、再びダム建設が注目され始めました。新たな知事が就任し、既存の凍結ダムの再評価を始める動きが見られたのは、このような背景があったからです。このように、ダム事業は環境問題や地域の洪水リスクに対する責任と密接に関わっており、今後の河川管理の重要性が増しています。

都道府県営ダムの例

主要な都道府県営ダムには、特定のエピソードを持つダムや規模が大きいものが存在し、国土交通省から移管されたダムも少なくありません。他にも、小規模生活貯水池制度など、地域のニーズに応じたダム事業が展開されています。その結果、ダムは単なる水資源管理の手段だけでなく、観光資源としてもその存在意義を高めています。

これらのダム事業は、持続可能な社会の構築や地域振興にも寄与するため、今後も重要な役割を果たすことでしょう。

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