鄭柞

鄭柞（てい さく、チン・タック）

鄭柞（生年：弘定7年3月5日（1606年4月11日） - 死亡年：正和3年8月23日（1682年9月24日））は、後黎朝における重要な権臣であり、東京鄭氏の第5代当主として活躍しました。彼の封号は西定王と称され、長きにわたる政治活動や軍事的な成果により名を残しています。

生涯の概要

鄭柞は、鄭梉の四男として生まれました。母は陳氏玉台で、彼の政治的キャリアは弘定15年（1614年）に栄郡公に封じられたことから始まります。気鋭の武将として頭角を現した彼は、徳隆3年（1631年）には北軍左都督副将太保西郡公に昇進し、乂安処での出鎮を行いました。

その後も着実に昇進を続け、福泰3年（1645年）には国権を持つ左相太尉西国公に進封され、国政に関わるようになります。慶徳4年（1652年）には元帥として国政を掌握し、地域の安定を図りました。

軍事的活動

盛徳3年（1655年）、広南の阮福瀕軍による侵攻を受け、鄭氏軍は一時劣勢となりますが、盛徳5年（1657年）には鄭梉の死去を受けてその後継者となりました。鄭柞は戦局が膠着状態にある中で、永寿2年（1659年）に大元帥に任じられ、阮軍の内部抗争を利用して七県一州を奪回することに成功します。

次の年、閏3月5日には御林軍を南下させ、阮氏を攻撃しましたが、彼の攻撃は成功せず、永寿5年（1662年）に撤退を余儀なくされます。高平の莫敬宇からも攻撃を受けますが、これを撃退し、さらには新たな戦略を取る事に決定しました。

高平の莫氏をターゲットにした攻撃を行い、景治5年（1667年）には莫敬宇を清に追い詰めますが、康熙帝からの介入により高平を返還する軽いトラブルも経験しました。この状況を経て、鄭柞は1672年に再び阮氏に対して軍を進めますが、惨敗を喫し、1673年に和平協定を結ぶこととなります。この協定により、争乱は一時的に収束し、百年もの平和の礎を築く結果となりました。

政治的成果

さらに、鄭柞の時代には清の三藩の乱が影響を与えます。永治2年（1677年）、鄭柞は北上して高平を攻撃し、莫氏を排除しました。そして、莫敬宇の呉三桂支持の証拠を清に提出し、清軍の支持取りやめを実現します。

最後に、正和3年（1682年）に77歳で亡くなり、後を長男の鄭根が継ぎます。彼の死後、朝廷からは陽王の尊号が贈られ、聡明且つ賢明な治世者として評価されました。特に、鄭柞の政治的手腕や軍事的な才能によって、ベトナム南部の政治情勢が大きく変化したことは特筆に値します。

家族構成

正室は鄭氏玉瓏で、彼女は養子であった嘉宗の即位後に国太母と称されました。他にも、多くの息子や娘がいた中で、特に長女の鄭氏玉𣖮は皇后として名を刻んでいます。彼の提携とその家系の広がりも、後黎朝における鄭氏の影響力を示す一端となっています。

彼の生涯は、権力、軍事的対立、外交を通じた複雑な歴史を反映しており、多くの注目すべき成功物語に彩られています。

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