鄭遇春

鄭遇春（てい ぐうしゅん）

鄭遇春は、元末から明初にかけて活躍した軍人です。生年は不明ですが、1390年に処刑されたと記録されています。彼は濠州鍾離県（現在の安徽省鳳陽県）の出身で、兄の鄭遇霖と共に、朱元璋の配下として数々の戦で活躍しました。

生涯

鄭遇春は、兄の鄭遇霖と共に、その勇猛さで知られていました。ある時、鄭遇霖を暗殺しようとする者が現れましたが、鄭遇春は兄を護衛し、見事に危機を脱しました。人々は鄭遇霖を畏怖していましたが、鄭遇春は知恵に長けた人物として周囲から評価されていました。

1353年、鄭遇春は定遠攻略に参加した24将の一人に選ばれました。朱元璋が滁州を攻略した際には、兄の鄭遇霖が先鋒を務め、鉄仏岡・三郤河・大柳などの拠点を攻略しました。鄭遇春もこの戦功によって総管に任命されました。蕪湖での戦いで鄭遇霖が戦死すると、鄭遇春はその後を継ぎ、軍を率いることになりました。当時の朱元璋軍は、各武将が率いる兵力が1千人に満たない状況でしたが、鄭遇春は二つの軍を指揮し、その中でも特に勇猛な武将として知られていました。彼は数々の戦いで功績を重ね、左翼元帥に任命されました。陳友諒との戦いでも、常に先頭に立って戦い、その功績を自ら語ることはありませんでした。朱元璋は彼の謙虚な姿勢を非常に奇妙に感じていたとされています。六安を攻略した際には、六安衛指揮僉事に任命されました。

1367年10月、徐達に従い、北伐に参加しました。1368年2月には山東、4月には河南・河北を攻略し、朔州を攻略した功績により、朔州衛指揮副使となりました。1370年には、同知大都督府事に任命され、滎陽侯に封ぜられ、歳禄9百石を賜りました。1371年には、臨濠に駐屯し、大都督府に務めました。その後、連座事件によって爵位を剥奪されましたが、後に復権し、再び朔州を守備しました。傅友徳に従い、雲南征伐にも参加し、楊文らと共に城池を攻略しました。応天府に帰還後は、金吾諸衛を指揮し、180隻の海船を建造して遼東に派遣しました。また、陝西都司管轄下の岷州衛の官馬を登記する任務も行いました。

1390年、鄭遇春は胡惟庸との繋がりがあったとして処刑され、爵位も剥奪されました。彼の最期は、明朝初期の政争に巻き込まれた悲劇的なものでした。

鄭遇春は、その勇猛さと知恵で、朱元璋の明建国に貢献した武将でした。数々の戦で功績を上げましたが、晩年は政治的な陰謀に巻き込まれ、悲劇的な結末を迎えることとなりました。

参考文献

『明史』巻1　本紀第1 太祖1
『明史』巻2　本紀第2 太祖2
『明史』巻3　本紀第3 太祖3
『明史』巻131　列伝第19　鄭遇春
* 『明史紀事本末』巻1　太祖起兵

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