酒とバラの日々

酒とバラの日々

『酒とバラの日々』（Days of Wine and Roses）は1962年に制作されたアメリカの映画で、アルコール依存に悩むカップルの悲劇的な物語を描いたシリアスなドラマです。この作品は、酒に飲まれた生活がもたらす影響を深く掘り下げることで、観客に警鐘を鳴らします。

ストーリーの概要

物語は、宣伝会社に勤める営業マンのジョーから始まります。ある派手なパーティーで、彼は大会社の秘書であるカーステンをセミ・プロの女性と誤認し、嫌な思いをさせてしまいます。この出来事の後、ジョーは彼女に詫びを入れ、再び食事に誘うことで関係を進展させていきます。陽気で酒好きのジョーと、甘党で冷静なカーステンは一見、対照的な存在ですが、徐々に互いに惹かれ合います。

二人の関係は、カーステンの父エリスが経営する植物園を訪ねたことで次第に深まります。しかし、エリスの無愛想な態度を見て、ジョーは初めて酒を求めるようになります。楽しい日々が過ぎ、彼らの娘デビーも誕生し、幸せな家庭が築かれました。

しかし、酒は次第に二人の人生を狂わせていきます。ジョーはアルコールの失敗により職を失い、出張が多くなると、カーステンはジョーの不在の間に孤独を癒すために飲酒を始めます。カーステンは次第にアルコール依存に陥り、ある日、酔っ払ってアパートで火事を起こしてしまい、ジョーは職を失う結果となります。彼らの生活は次第に悪化し、最終的には貧民街に移り住むこととなります。

絶望と再生

そんな中、彼らは健康を回復し、一時的に明るい兆しが見えますが、再び酒が持ち込まれることで二人は再び酩酊状態に陥ります。ジョーは強制入院を余儀なくされ、その間に彼は更生会の集会に参加し始めます。しかし、カーステンは自らの問題を認めず、家を出て自堕落な生活に戻ります。やがて再会した二人は、カーステンの懇願により再び酒に手を伸ばしてしまいます。

更生会の補導員はカーステンを父エリスに預け、ジョーに再生の機会を与えます。1年が経過し、真面目に働き、安定した生活を送るようになったジョーの元を、ある日カーステンが訪れます。しかし、彼女はアルコール依存を認めず、結局再び去ってしまいます。デビーの問いかけに対して、ジョーは「僕が治ったから、ママも良くなるだろう」と答えます。外では、酒を求めてさ迷う妻の姿が見えました。

音楽と評価

映画のテーマ曲を手がけたのはヘンリー・マンシーニで、ジョニー・マーサーが作詞した同名の曲はアカデミー歌曲賞を受賞しました。この曲はジャズのスタンダードとしても多くのアーティストによってアレンジされ歌い継がれています。

日本での放送事情

日本におけるこの映画の放送については興味深い事情があります。初めて放送される予定だった際、スポンサーの関係で中止となったことや、改めて放送された経緯について増山江威子が残念がっているとの情報もあります。ただし、1984年や1986年には『ウィークエンドシアター』などで放送されており、実際には何度か視聴する機会があったようです。映画『酒とバラの日々』は、酒がもたらす影響を深刻に描いた作品であり、今なお多くの人に語り継がれる価値を持っています。

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