酒井京子

酒井京子（さかい きょうこ）

酒井京子は、1946年千葉県に生まれた編集者です。法政大学経済学部を卒業後、株式会社童心社に入社し、編集者としてのキャリアをスタートさせました。

童心社での編集者としての活躍

童心社では、約200冊の絵本と約100の紙芝居の編集を担当しました。その中には、いわさきちひろが絵を担当した『宮沢賢治 花の童話集』や、古田足日・田畑精一による『おしいれのぼうけん』、いわむらかずおの「14ひきのシリーズ」といった、世代を超えて愛されるロングセラー作品が含まれています。特に『おしいれのぼうけん』は単独製作部数220万部、「14ひきのシリーズ」は海外版を含め総製作部数1000万部を超える大ヒットとなりました。

1984年には童心社の編集長に就任。その後、取締役編集長を経て、1998年には代表取締役社長（三代目）に就任し、経営者としても手腕を発揮しました。

紙芝居文化の普及への貢献

酒井京子は、2001年に「紙芝居文化の会」を創立し、代表として紙芝居の普及に尽力しました。オランダ、フランス、ドイツ、インド、ベトナム、マレーシア、シンガポール、中国、スロベニアなど世界各地で紙芝居の講座を開催し、その魅力を伝えました。

2006年には、童心社の新社屋を文京区千石に完成させ、2007年には取締役会長に就任。2014年には、童心社として第29回「梓会出版文化賞」を受賞しました。

2019年に取締役を退任した後は、非常勤の会長職として、講演活動などを通じて絵本や紙芝居の普及に努めています。

その他の活動

酒井京子は、公益財団法人いわさきちひろ記念事業団の監事や、国立リハビリテーションセンターの講師も務めています。また、多くの書籍や雑誌に執筆しており、その経験と知識を広く共有しています。

主な編集担当書籍

絵本

『宮沢賢治 花の童話集』宮沢賢治/著、岩崎ちひろ/画、童心社、1969.10
『0から10まで』かずのほん2　遠山啓/監修、田畑精一/絵、童心社、1970.7
『おしいれのぼうけん』古田足日・田畑精一/著、童心社、1974.11
『原爆の絵 HIROSHIMA』国見徳雄/絵、童心社、1977.6
『ダンプえんちょうやっつけた』古田足日・田畑精一/著、童心社、1978.4
『にちよういち』西村繁男/作、童心社、1979.9
『びゅんびゅんごまがまわったら』宮川ひろ/作、林明子/絵、童心社、1982.7
14ひきのシリーズ　いわむらかずお/著、童心社
『14ひきのひっこし』1983.7
『14ひきのあさごはん』1983.7
『14ひきのやまいも』1984.7
『14ひきのさむいふゆ』1985.11
『14ひきのぴくにっく』1986.11
『14ひきのおつきみ』1988.6
『14ひきのせんたく』1990.5
『14ひきのあきまつり』1992.10
『14ひきのこもりうた』1994.7
『14ひきのかぼちゃ』1997.4
『14ひきのとんぼいけ』2002.6
『14ひきのもちつき』2007.11
『えのすきなねこさん』西巻芳子/作、童心社、1986.2
『へび山のあい子ー赤い矢と青いほのおの物語』古田足日/著、田畑精一/絵、童心社、1987.10
『あかまんまとうげ』岩崎京子/著、いわさきちひろ/絵、童心社、1994.10

紙芝居

ロボットカミイシリーズ　古田足日/脚本、田畑精一/絵、童心社
『ロボットカミイ ちびぞうのまき』1970.11
『ロボットカミイ げきあそびのまき』1971.12
『ロボットカミイ おみせやさんごっごのまき』1972.10
『ロボットカミイ ロボットのくにへかえるのまき』1974.3
『太陽はどこからでるの』チョン・ヒエウ/脚本・絵、童心社、1996.9
『これはりんご』中川ひろたか/脚本、和歌山静子/絵、童心社、1997.9
『おばけとやっちゃん』松野正子/脚本、渡辺有一/絵、童心社、2000.5
『したきりすずめ』松谷みよ子/脚本、堀内誠一/絵、童心社、2009.4

主な著書

『本の力　私の絵本製作秘話』酒井京子 著、童心社、2021.6
『紙芝居を演じる (図書館ブックレット・あなたにもできる実技編 1)』酒井京子、日下部茂子/共著、図書館流通センター、2003.11
『紙芝居百科』紙芝居文化の会企画、童心社、2017.11

主な海外講座（紙芝居関連）

2002年 フランス、バニュー市 紙芝居講座「すばらしい紙芝居の世界」
2004年 ドイツ、ミュンヘン 紙芝居講座
2005年 インド、ニューデリー 「ストーリーテリングに関するアジア会議」
2006年 フランス、バニュー市 紙芝居講座
2011年 インド、ニューデリー 紙芝居講座
2012年 フランス、パリ 「ヨーロッパ紙芝居会議」
2013年 マレーシア、クアラルンプール 紙芝居講座
2015年 マレーシア、プトラジャヤ 紙芝居講座
2016年 中国、上海 紙芝居講座
2016年 シンガポール、紙芝居講演
2017年 フランス、パリ 紙芝居講座
2018年 スロベニア、リュブリャナ 紙芝居講座
2019年 フランス、パリ 「欧州デモンストレーション・ワークショップ」

メディア出演

文化放送「鎌田實×村上信夫 日曜はがんばらない」2017年4月30日
Tokyo FM「みらい図鑑」VOL.141 「紙芝居」2018年11月3日
NHK国際放送 Japanology Plus 2020年10月29日
文化放送「斉藤一美ニュースワイドSAKIDORI」内「アーサー・ビナード 午後の三枚おろし」 2021年12月6日〜12月10日

雑誌掲載・講義録など

こどもの本 (日本児童図書出版協会)

「編集長より愛をこめてクリスマスにおくる一冊の本」1985-12, 1986-12, 1987-12, 1989-12, 1990-12
「夏休みにおくる自然科学の本」1986-08, 1987-08, 1988-08, 1989-08

子どもの文化 (子どもの文化研究所/文民教育協会子どもの文化研究所)
「特集 いま、紙芝居を考える 座談会 紙芝居って何だろう 広がりから本質を探る」1995-11
「文化MONO語りベトナムの紙芝居の今ベトナムの紙芝居の普及を支援する会の交流報告(座談会)」1998-01
季刊 この本読んで! (出版文化産業振興財団)
「現実の空間に出てきて広がり、"共感"の感性を育む。紙芝居はたぐいまれな文化財 (特集 紙芝居、その奥深き世界)」2007-00
月刊 こどもの図書館 (児童図書研究会)
「紙芝居『ロボット・カミイ』[古田足日・文 田畑精一・絵] 」2010-01
「子どもに寄り添いながら : 60周年を迎える童心社の歩み (特集 出版社のトピックス)」2017-01
子どもと読書 (親子読書地域文庫全国連絡会/編)
「その豊かな世界 (特集 紙芝居はいま)」2004
「紙芝居『ロボット・カミイ』ができるまで (特集 追悼 古田足日さん：その作品と評論)」2014
子どもの本棚 (日本子どもの本研究会/編)
「『おしいれのぼうけん』誕生の思い出 (特集 古田足日：子どもの本の明日をみつめて)」2014-10
日本児童文学 (日本児童文学者協会)
「追悼エッセイ：ありがとう、古田さん」（特集　追悼　古田足日）2015-1-2月号、2015.1

その他
「編集者の日録 (第365回)」出版ニュース 1993-09
「塩澤実信のベストセラー仕掛人に迫る (株)童心社代表取締役社長 酒井京子 超ロングセラー・児童書の魅力」政界 2000-08
「日本から「共感の感性」を世界へ！」公益社団法人読書推進協議会、読書推進運動 2007-03-15
「世界へはばたく紙芝居 (特集 いま、紙芝居がおもしろい)」子どものしあわせ 2007-08
「JBBY理事に聞きたい10の質問」Book & bread : Japanese Board on Books for Young People (JBBY) bulletin 2011-08
「児童サービス研修のいまとこれから」国立国会図書館国際子ども図書館 2011-09-30
「子どもの本の編集者に聞く(第4回)童心社・酒井京子氏に聞く」絵本bookend 2013
「絵本BOOK END 2013」絵本学会機関誌編集委員会／編集 絵本学会 2013
「第29回梓会出版文化賞を受賞して(童心社)」、出版ニュース、2014-02-00
「対談 女性出版人として思うこと : 世の変化に即応しつつ」日本古書通信、2015-07


講義録等
「紙芝居の魅力」2004 全国学校図書館研究大会(びわこ・くさつ大会)研究集録
「紙芝居・共感の楽しさ素晴らしさ」2009 平成21年度国際子ども図書館児童文学連続講座講義録

外部リンク

* 紙芝居文化の会

酒井京子は、編集者としてだけでなく、紙芝居文化の普及者、講演者として多岐にわたる活動を通じて、多くの人々に絵本と紙芝居の魅力を伝えています。

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