酒井宏之

酒井 宏之

東京都北区出身、1972年9月25日生まれの酒井宏之氏は、かつてラグビー選手として活躍し、現在は俳優として多方面で活動しながら、再びラグビー界で指導者として手腕を発揮するなど、異色のキャリアを歩む人物です。

選手としての輝かしい経歴

ラグビー選手としての才能は高校時代から顕著でした。大東文化大学第一高等学校では、1年生にして全国高等学校ラグビーフットボール大会（花園）に出場し、チームのベスト16進出に貢献。大東文化大学に進学後もその勢いは衰えず、1年時からレギュラーとして関東大学ラグビーリーグ戦での優勝を経験。4年時には、関東リーグ優勝に加え、全国大学選手権でも頂点に立ち、大学ラグビー界での2冠を達成しました。

卒業後、リコーに入社し、社会人ラグビーの世界へ。ここでは主将を務めるなど中心選手として活躍する傍ら、日本A代表や7人制日本代表にも選出され、海外遠征を通じて国際経験を積みました。現役時代のポジションはセンター(CTB)で、持ち前のフィジカルとスピードでチームに貢献。2002年に現役から退きました。

俳優への転身と多分野での活動

ラグビー選手としてのキャリアを終えた酒井氏は、俳優という新たな世界へと飛び込みました。テレビドラマ、映画、舞台など、幅広いジャンルで役者として経験を積む一方、ラジオ番組への出演やCM、雑誌モデルとしても活動の幅を広げました。

特に、TBS系列で放送された「最強の男は誰だ!壮絶筋肉バトル!!スポーツマンNo.1決定戦」には芸能人として出場し、その高い運動能力と競技センスを披露しました。初出場となった第14回芸能人サバイバルバトルでは、「SPIN OFF」と「POWER FORCE」で初戦を突破し、いずれも3位入賞。名物の「MONSTER BOX」では18段をクリアするなど、各競技で好成績を残し、総合3位という快挙を成し遂げました。続く第15回大会でも「FINAL RUN」で見事種目別No.1を獲得するなど、その身体能力は多くの視聴者に強い印象を与えました。

ラグビー指導者・振興活動

俳優業を続ける中で、酒井氏は再びラグビー界への情熱を燃やし、指導者としての道を歩み始めます。2011年には母校である大東文化大学ラグビー部のアシスタントヘッドコーチに就任。2013年からは中央大学ラグビー部のヘッドコーチとして、チームを4年連続で全国大学選手権出場へと導く手腕を発揮し、2017年からはチームマネージャーを務めました。

2019年には、岐阜県郡上市における女子ラグビーチームの立ち上げに参画。また、郡上市が2020年東京オリンピックのホストタウンとしてコロンビアとマダガスカルの女子7人制ラグビー代表チームを受け入れるにあたり、その事前合宿期間中には国内外のチームを招いた交流大会『郡上グローバルラグビー女子セブンズ大会』の開催に尽力。さらに、JICA（国際協力機構）の派遣コーチとしてマダガスカル女子7人制代表チームの指導に携わり、東京オリンピックアフリカ予選でのチームの躍進（3位入賞、他大陸プレーオフ進出決定）に貢献するなど、国際的なラグビー振興にも関わりました。

2020年には、地元である東京都北区にラグビーフットボール協会を設立し、理事長に就任。地域におけるラグビー普及・発展にも力を注いでいます。

近年の活動と母校での栄光

2021年には、自身が卒業した大東文化大学第一高等学校ラグビー部のヘッドコーチを務めた後、2023年には遂に母校である大東文化大学ラグビー部の監督に就任。就任初年度は関東大学リーグ戦で4位となりましたが、翌2024年にはチームを7年ぶり9回目となる関東大学リーグ戦優勝へと導く快挙を達成。全国大学選手権でも準々決勝に進出するなど、指導者としても確かな実績を積み重ねています。

監督業の傍ら、近年は東京都六本木でカフェバーを経営したり、イベントプロデュースやデザイナーとしても活動するなど、実業家・クリエイターとしての側面も持ち合わせています。

ラグビー選手として頂点を目指し、俳優として表現の世界で活躍、そして指導者として再び母校を率いて栄光を掴むなど、酒井宏之氏のキャリアはまさに多岐にわたります。その情熱と才能は、今後も様々な分野で発揮されていくことでしょう。

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