酒井忠吉

酒井 忠吉の生涯

酒井忠吉（さかい ただよし、1589年 - 1663年）は、江戸時代初期における重要な武士で、幕府旗本寄合として知られています。彼は従五位上、和泉守を経て紀伊守にまで昇進しました。彼の幼名は小鍋で、若狭の国の大名・酒井忠勝の弟です。

生い立ちと初期の経歴

忠吉は、酒井忠利の次男として生まれました。母は鈴木重直の娘で、忠吉は大老酒井忠勝と同母の弟ということから、彼の家系は名門であったことがわかります。忠吉は13歳の時、慶长6年（1601年）に徳川秀忠に召され、下総の地で500石を授かり、御書院番として活動を始めました。彼の武士としての初陣は、元和元年（1615年）に行われた大坂夏の陣で、これが彼の戦歴のスタートとなります。

親の役職継承と昇進

彼の父、忠利が老衰で亡くなると、忠吉は寛永元年（1624年）からその大留守居役を代行しました。この年、父の遺領の多くは兄の忠勝が継承しましたが、武蔵国川越の3000石は忠吉のものとなりました。寛永6年（1629年）には、従五位下と和泉守に叙任されるなど、その地位は着実に上昇していきました。

大奥の職務と引退

その後、忠吉は寛永19年（1642年）に大奥番に任命され、財政管理を手掛けることになりました。この役割は長く続き、彼の行政能力が評価されたことが伺えます。しかし、万治2年（1659年）には高齢となり、職を辞すこととなりました。その後、忠吉は寛文2年（1662年）に三男の忠経に家督を譲り、隠居生活に入ります。養老料として800俵が支給され、彼は比較的安定した生活を送ることができました。

晩年と死

寛文3年（1663年）5月6日、忠吉は75歳でこの世を去りました。彼の遺体は川越の源昌寺、後に浅草の曹源寺に葬られ、法名は高心と名付けられました。

家族

忠吉には4人の娘がおり、その内の長女と三女・茂姫は高家の吉良義冬に嫁いでいます。興味深いことに、娘たちの結婚の間に、赤穂事件で名を馳せる吉良義央が誕生することになります。

酒井忠吉の生涯は、幕府の運営や家族の歴史を通じて日本の武士の姿を映し出すものであり、今なお多くの教訓を私たちに与えているのです。彼の政務や戦績、さらには家族の結びつきは、江戸時代の日本社会における重要な側面を象徴しています。

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